痛くない虫歯治療はレーザーで

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病院に行きたくない、という人は多いと思う。少々具合がよろしくなくても気合で治す!などということもよく聞く話である。そんな病院の中でも、大人も子供も男女も問わず逃げ出したくなる第一位はぶっちぎりで、『歯医者』、ではないだろうか。

別に歯医者さんに恨みがあるわけではないことは先に述べておくが、大変申し訳ないことに、あの音、振動、そして治療中の名状し難い痛みが苦手で苦手でたまらないのだという人は数多いだろう。出来ることなら避けたいが悲しいことに、なってしまった虫歯は気合を入れても自然治癒はしてくれない。我慢するにも限度がある上、放置して悪化すれば治療の痛みは更に上乗せである。虫歯にならないように歯磨きを欠かさなくても、何故か虫歯ができていたりもする。酷くなる前に歯医者に行った方が良いのは分かっているけれども、行きたくない。

そんなジレンマを何とかしてくれる、「痛くない虫歯治療」があるとしたら、受けてみたいと思いませんか?

その痛くない虫歯治療がレーザー治療である。近年発展著しいレーザー技術は、虫歯治療にも救いの手を差し伸べてくれているのだ。
歯医者に行きたくなくなってしまう要因は、前述したように、痛み・振動・音、の3点セットだが、振動と音はその原因となっているドリルを使わないので発生せず、最も肝心な痛みも大幅に少なくすることが出来るのだ。

他にもメリットはある。レーザー治療に使われているレーザーはかなり高温まで設定することが出来る為、レーザーを当てた患部が一瞬で蒸発するので出血が抑えられるのだ。同じ機能を利用して、歯肉炎等の炎症を起こしている部分を除去することも可能で、口内炎や知覚過敏の治療にも効果を発揮している。
このレーザー機器には種類があり、機器の性質で治療可能な範囲が異なっている。

●炭酸ガスレーザー
国内で最も普及している。歯茎や粘膜を切ること、止血に優れた効果有り。

●半導体レーザー
低出力タイプと高出力タイプがある。主に粘膜や歯茎の腫れや炎症、痛みの緩和に効果がある。機器の種類によっては虫歯の探査・診断が可能な場合もある。

●HeNe(ヘリウムネオン)レーザー
粘膜や歯茎の腫れや、炎症、痛みなどの緩和に使われている。虫歯治療よりも、顎関節症や歯肉炎、口内炎などの治療に効果がある。

●Er:YAG(エルビウムヤグ)レーザー
レーザー光を水で冷却しながら治療する為、熱の発生が抑えられ、位少ない痛みで歯を削ることが可能。虫歯や顎関節を削る治療に特に効果がある。

●Er,Cr;YSGG(エルビウム,クロミウム;ワイエスジージー)レーザー
水を使ったレーザーで痛みを発生させずに静かに歯を削ることが可能。

上記のように様々種類があるので、治療を受ける歯科医院に確認してから通
院するのが良いだろう。

良いこと尽くめの万能治療法のようだが、メリットしか無い物事というのは
極わずかである。デメリットがあることも念頭に置かなければならない。
まず、ドリルで歯を削る場合とは違って処置に時間がかかる、ということだ。
レーザー治療は言ってみれば光を歯に当てるだけ、という方法である為、従来
のドリルでの治療のように短時間で行おうとすると、出力を上げなければなら
ず、それでは歯や粘膜を傷つけてしまう可能性がある。
次に、治療が適用できる虫歯の状態が限られているということ。主に初期の
虫歯に対しては有効だが、症状が進んでしまうと治療しきれない場合がある。
そして、保険適応外のものがあること。病態によって違いはあるが、完全自
腹ということもあり得るので、受診時に確認は必須である。

メリット、デメリット双方を挙げたが、デメリットに関しては技術の発展に
よってそう遠くない未来に克服されるのではないか、と昨今のレーザー業界の
目覚ましさを見るにつけ期待を抱いても良いような気がしてしまうのは、歯医
者を苦手とする人間共通の願望だろうか。(そうではないことを願ってやまない
が!)
何にしろ、痛くない虫歯治療が存在する、というのは救いだ。虫歯が酷くな
る前に、レーザー治療が有効な間に、歯科医院に駆け込むことをお勧めしてお
く。尤も、虫歯になる前に、きちんと予防に勤しむことが一番重要なのだろう
けれども。

参考
みんなの歯医者さんネット
EPARK 歯科

「執筆者:株式会社光響 緒方」