ドローンとレーザーによる落石危険度評価システム

『非接触振動計測システム』に使えるドローンはこちら(GreenValley International社:紹介ページ)

日本の国土の約60%は山林だ。

その山林の隙間を縫うように、或いは貫いて交通網が張り巡らされている。一般道、高速道路、鉄道、地上を行くあらゆる交通手段は山林や急斜面を避けて通ることはまずできないだろう。

そして、年に何度か必ず耳にするのは落石事故のニュースだ。規模の大小はあるが、長雨が続いた場合などは土砂崩れや落石の注意を呼びかけることも少なくはないし、山間部の道路では『落石注意』の看板を見かけることも珍しいことではない。

 (図1)

避けては通れない落石だが、少しでも危険を回避する為に、「落石危険度評価システム」というものがある。

鉄道総合研究所が沿線斜面からの落石被害を防止する為に開発したもので、レーザーやドローンを使用し、10~300m離れたところから非接触で詳細なデータを取得することが可能だという。

岩盤斜面にレーザーを照射し、岩盤の微細な振動をドップラー効果を利用して測定する『非接触振動計測システム』。ステレオカメラを搭載したドローンで岩塊を空撮し、周辺のひび割れ状態等の三次元形状を把握する『空撮測量システム』。両システムで得られたデータから振動特性を推定するモデルを作成・解析する『数値解析による危険評価システム』の3つで構成されている。

 (図2)

 (図3)

非接触型振動計測システムは不可視光の赤外レーザーを使用しており、斜面に反射ターゲットを設置する必要が無い為、作業員が危険なエリアで作業をする必要が無い。

空撮測量システムは岩塊形状を座標点群データとしてデジタルデータ化出来るので、地上測量の死角となる部分のひび割れや裂け目の計測も可能であり、岩塊の重量の推定も行えるが、撮影の死角となっている箇所の測定は出来ない為、その場合は複数の角度から撮影した三次元の形状データを貼り合わせ、死角の無いデータを形成する。

沿線の落石防止を目的に作られたシステムではあるが、勿論、一般道や高速道路を始め、必要とされる各所で使用することができ、地震等の災害時の落石危険度の評価も可能として期待されている。

参考
*公益財団法人鉄道総合技術研究所
http://www.rtri.or.jp/
http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0004/2017/0004006745.pdf

*乗り物ニュース
https://trafficnews.jp/post/42193/
https://contents.trafficnews.jp/image/000/001/695/150807_rakusekikikendo_01.jpg(図2)

*トライポロジー関連ニュース
https://www.juntsu.co.jp/news/2015/08/jn2015081903/
https://www.juntsu.co.jp/news/wp-content/uploads/2015/08/15_8_19_3.jpg(図3)
https://rr.img.naver.jp/mig?src=http%3A%2F%2Fimgcc.naver.jp%2Fkaze%2Fmission%2FUSER%2F20140731%2F54%2F5599824%2F2%2F500x563xfca21ad2e29bf1914a491a0d.jpg%2F300%2F600&twidth=300&theight=600&qlt=80&res_format=jpg&op=r(図1)

「執筆者:株式会社光響 緒方」