下肢静脈瘤手術は日帰りの時代。傷が少なく短時間なレーザー手術。

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下肢静脈瘤は読んで字の如く足の静脈に起こる病気だ。足の静脈は使い終わった血液を心臓に送り返す役割をしているわけだが、重力に逆らって上に押し上げる為、ハの字型の逆流防止用の弁が付いている。この弁が正常に働かなくなると、上へ送られる筈の血液が下の静脈に溜め込まれていくことになる。結果、血管が太くなりボコボコと浮き上がったり、瘤のように隆起してしまうことになる。

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頻繁なこむら返りやむくみ、だるさ等の症状が慢性的に起こる。一見して重大な疾患のように見えるが、下肢静脈瘤は良性疾患なので、急激な悪化や即座に命に関わるということはない。但し、自然治癒することは無く経年で悪化していく。重症化して潰瘍になる場合もあるので、できるだけ早期に治療した方が良いだろう。治療法としては、弾性包帯やストッキングで患部を圧迫する保存的療法(圧迫療法)や、患部の静脈に硬化剤を注入して血管壁をくっつけたり、血栓を作り堰き止める硬化療法、鼠蹊部付近で欠陥を部分的に切除して断端を結束する高位結紮術等が行われてきたが、根本的な治癒に至らない、太い静脈には効果が無い、副作用がある、または、再発の危険が高い等のデメリットも多い。近年、治癒率の高さと患者への負担の少なさから注目を集めているのがレーザーによる治療だ。下肢静脈瘤のレーザー治療は大きく分けて2種類ある。

1つ目は血管内レーザー焼却術。主に、皮膚表面に血管がボコボコと浮き出してしまった症状に使われ、810nm、980nm、1320nm、1470nm、2000nmの波長をもつレーザーを使用する。患部の静脈に極細のレーザーファイバーを挿入し、血管内側の壁をレーザーで焼く。それにより閉塞した静脈には血液が流れなくなり、時間経過と共に線維化し体組織に吸収されることになる。この技術が使われ始めて当初は蓄積データが無く、施術する病院数も少なかったが、現在では長期的な安全性が確認されたこともあり、治療を受けられる病院数は増加している。また、2011年には980nmレーザーが、2014年には1470nmレーザーが保険適用となり、普及に拍車がかかるものとみられている。現在治療に使われているレーザーの中で最も効果的とされているのは2000nmレーザーで、水分の吸収、組織との反応に優れ、照射熱量は最小、手術時間は最短、治療成績も良好。合併症の発生率も低く、最適な治療と評価されている。現段階では保険適用外だが、早期の適用を期待したいところだ。治療時間は片足で10分、両足で20分程度とされており、以前は不可能だった両足同時の施術も可能となっている。傷が小さく患者に与える負担が少なく、回復も早い。当日からの仕事復帰や運動が可能である点も魅力的だ。

2つ目は体外照射レーザー治療。下肢静脈瘤は症状によっては皮膚表面に蜘蛛の巣のように細かい網目状に血管が浮かび上がる「網目状静脈瘤」「クモの巣状静脈瘤」という状態になることがある。
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ボコボコと隆起するわけではないが、見た目には少しショッキングな症状だ。従来は硬化療法で治療することが多い症例だったが、近年、体外から照射するタイプのレーザー治療方が登場している。使用されるのはロングパルスYAGレーザー。このレーザーは血管の壁を変性・収縮させる効果があり、一定間隔で断続的に患部に照射することで患部を焼くことなく血管を閉塞させることができる。治療時間は30~1時間程度。合併症の発生を抑える為に複数回に分けて施術される。傷も出血もないので施術直後に帰宅することができるというメリットもある。他にも、患部血管を引き抜く「スリッピング療法」や「高周波RF治療」がありそれぞれの特性に合わせて施術されている。下肢静脈瘤は長時間の立ち仕事、妊娠・出産時、或いは肥満によっても引き起こされることがある。男性よりも女性の方が罹患しやすく、割合としては女性64%、男性36%となっている。若年者よりも高齢者の方が多く50歳以上の割合は女性84%、男性は74%となっている。急速に進行することも無く、強烈な痛みを伴うわけではないので治療を先延ばしにしてしまうことも多いというが、レーザー治療の導入により、以前よりも格段に治療が容易となっている。下肢静脈瘤は自然に治ることは無い病だ。速やかに病院に行き、むくみやこむら返りから解放された快適な日常生活を取り戻すのが良いのではないだろうか。

参考
*北青山Dクリニック 下肢静脈瘤レーザー治療センター
https://www.varixlaser.com/whats-varix/07.html
https://www.varixlaser.com/common/images/whats-varix/varix-ben.png(図1)

*下肢静脈瘤広報センター
http://www.varix.or.jp/what.html
http://www.varix.or.jp/img/case_02.jpg(図2)

https://varix-sakai.com/wp-content/uploads/2017/05/ime_tcj4.png(図3)

「執筆者:株式会社光響 緒方」