レーザーカカシV.S鳥!!Ⅱ レーザーはブルーベリーを守れるか

害獣／害虫V.Sレーザー。何度かこの面白レーザーニュースでも取り上げさせて頂いている話題だが、今現在も日本だけでなく世界各国津々浦々で、この仁義無きバトルは繰り広げられているようだ。今回お届けするのは、対鳥戦だ。
以前にお知らせしたように、害鳥としての鳥は非常に厄介な存在だ。その大多数は小さく小柄で見た目も愛らしい。しかし、集団で果樹園や農場を襲撃し、旺盛な食欲を見せつけ、食べたいだけ食べ散らかしていく。しかも、巷に蔓延る「鳥頭」の言葉は、人間を油断させる為に鳥類によってばら撒かれたのではないか、と疑念を抱きたくなるほどに頭が良く適応能力に優れている。人間が仕掛けたトラップには直ぐに慣れ、美味しい餌場は決して忘れず望まれないのに常連化し、高い飛行能力と移動速度を兼ね備え行動範囲が広いうえに、人海戦術ならぬ鳥海戦術を使ってくるために被害も甚大になりがちだ。

米国・オレゴン州にブルーベリーとサクランボ農場を構えるジャスティン・メデュリ氏も、襲来する鳥達の被害に頭を抱える農業従事者の一人だった。丹精込めた果実が収穫時期を迎えると、大挙して押し寄せる鳥の群れ。その数、驚きの2000~3000羽。人間が太刀打ち可能な数を遥かに超えている上に、農場の広さは1.35km×0.7kmと広大だ。一旦追い払っても、農場の別の場所で食べ始めるだけという労力の無駄遣いを繰り返す羽目になる。メデュリ氏は天敵である鷹を操る鷹匠を雇って抗戦を試みたが、大きな成果は得られなかったという。しかし、何らかの対策を取らなければ果実への被害は甚大極まりない。その被害規模は全収穫量の25~30%。金額にして1,000万円を超える。そして、満を持して導入されたのがBird Control Group社製の「全自動レーザーカカシ」だ。

たかがカカシ、と侮るなかれ。このカカシは古典的なただ立っているだけのカカシとはわけが違う。その場にたたずんで動かない所は同じだが、積極的且つ確実に害鳥を追い払う行動をとってくれる、現代の超ハイテクカカシだ。装置から不規則に照射されるグリーンレーザーを鳥は捕食者と認識して回避しようとする。鳥の本能を利用した抑止技術を駆使し、果樹を食い荒らす害鳥を追い払うのだ。レーザーということで、鳥を撃ち落したり失明させたりという心配をする方もおられるかもしれないし、その威力のレーザーが人間に照射される可能性を問題視する方もおられるだろう。しかし、それは杞憂だ。既に、レーザーを照射する方向や出力は、鳥や人体に影響を及ぼさないように調整されており、危険性の心配なく使用することができる。また、広い農地での使用は電源の確保に頭を悩ませるところだが、太陽光パネル搭載なので、その心配もご無用だ。

さて、最も気になるのは、このレーザーカカシを配備したメデュリ氏のブルーベリー農場のその後だ。

ご覧のように、農場全てにレーザーカカシの防衛能力が行きわたるように、全部で6基を配備。

見た目は監視カメラ・防犯カメラの類のようだが、稼働中によく地面を観察していると、

確かに緑色の光点、グリーンレーザーを確認することができる。人間の目にはただの移動する緑の点だが、鳥に対する効果は絶大だった。メデュリ氏によると、このレーザーカカシを配備してから、あれ程までに彼を悩ませ、収入になる筈だった果樹の1／4を無断で喰い荒らしていた鳥達を1羽も見かけていないという。正に、救いのカカシだ。

このレーザーカカシ、一基のお値段は9,500$、日本円で大体100万円だ。高額に思えるかもしれないが、農業機械としては破格に高値というわけではなく、寧ろお手頃価格寄りと言える。今回導入したメデュリ氏はトータルで600万円程の設備投資を行った事になるわけだが、今後のことも考えれば、良い買い物となったと言えるのではないだろうか。何しろ、年間1,000万円規模の無銭飲食を撃退してくれるわけなのだから。果樹園や農場に限らず、害鳥被害というのは意外に多い。このレーザーカカシ、2019年には港湾関係や石油精製施設などの農業に留まらず各方面に販売していく予定だという。

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