(熊谷崇准教授、杉本敏樹准教授ら)
【発表のポイント】
原子スケールの空間「ピコキャビティ(注1)」を利用した分光技術は、原子スケールでの精密計測や量子光技術の基盤になると期待されているものの、水素のような軽い分子の計測は極めて困難とされていた。
本研究では、低温・超高真空環境において高精度な探針増強ラマン分光法を用いることで、ピコキャビティ内に吸着した水素分子の観測に世界で初めて成功した。
観測されたH2(水素)とD2(重水素)の振動・回転スペクトル応答には明確な違いがあり、単一分子レベルでの理論解析により、原子核の量子的な揺らぎによる同位体効果がその要因であることを実証した。
ピコキャビティにおける精密な分子分光の進展は、将来的にエネルギー関連材料や触媒の機能解析、さらには単一分子の量子制御など、次世代のナノ計測・量子技術への応用が期待される。
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