NEDOプロジェクトにおいて、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)と富士通(株)は、小型で大容量化する光送受信技術により、従来の約2倍となる世界最高伝送密度約400Gbps/cm2でデータ伝送するシリコンフォトニクス光送受信器を開発しました。また同時に、4値パルス制御で高速光信号を発生する光変調伝送技術も開発し、従来よりも40%少ない消費電力で1チャンネル56Gbpsという高速データ伝送を可能としました。これら開発成果は、今後サーバーの処理速度の大幅な改善に大きく貢献することが期待されます。また、本技術の詳細は、9月17日から21日までスウェーデン・イエーテボリで開催されている国際会議「ECOC 2017(European Conference on Optical Communication 2017)」で発表しました。
図1 開発したシリコンフォトニクス光送受信器
1.概要
AIやIoTなど技術革新に伴う将来のサーバーシステムの高性能・高効率化に向け、プロセッサを多数接続するシステムの大規模化が進められており、サーバーシステム内のデータ伝送容量の拡大が重要な課題になっています。しかし、従来の電気配線を用いたデータ伝送のみでは限界があるため、データ伝送を光で行う手法が期待されており、具体的には光素子とそれを駆動する電子回路を複数並べて全体として大容量化を図る方法が検討されています(図2)。このような背景のもと、NEDOプロジェクトの「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」において、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)、富士通株式会社、株式会社富士通研究所の共同研究体制で、データ伝送容量の拡大に向けた高密度・小型光送受信器技術、高速・省電力送信器技術の開発を進めてきました。今般、プロセッサのパッケージ上に搭載可能な約1cm角のチップサイズで、25Gbps※1で16チャンネルの400Gbpsで動作する世界最高伝送密度のシリコンフォトニクス※2光送受信器を開発しました(図1)。また、開発した光送受信器をさらに高速化するための技術として、1Gbpsあたり1.6mWの消費電力(従来の40%減)で1チャンネル56Gbpsの高速光信号を発生するPAM4※3光送信器技術も同時に開発しました。今回開発した技術により、高密度の光送受信器をプロセッサ近傍に複数配置して、従来の伝送帯域の2倍となる、約2Tbps※4の光伝送が実現できるようになり、サーバーの処理速度改善に大きく寄与することが期待されます。
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