レーザー加速器による近未来のX線光源〜SOLEILが弱点を克服

これまで何度か取り上げてきたレーザープラズマ加速器の検証実験が相次ぐとともに新しい原理も加わって、かつての放射光の開発が加速した時代を彷彿とさせる。レーザープラズマの理解も大強度レーザーの進展とともに急速に進み、遠い宇宙の物理だと思われてきた物質とプラズマの相互作用が加速器の原理として一般化する兆しさえ見えてきた。

進化したレーザー加速器
X線発生源への応用の最近の進展を見ると、コンパクトな強力X線源が普及する日が遠くないことを暗示しているかのようだ。放射光の出現から認識されていた、高輝度ビームは大型施設でしか実現できない、という弱点を克服して、加速器はレーザーの時代となるとする見方も着実に増えてきた。破壊的イノベーションの登場で社会はジレンマに陥るというが、いま我々直面しているのは、そういう激動の時代なのかもしれない。ここではレーザープラズマ加速器、すなわち光で電子が加速される原理については特集記事を参考にしていただくことにして、最近の発展についてSOLEILグループの仕事を紹介する。SOLEILは第3世代放射光としては、規模はやや小ぶりな印象だが、加速器グループはアップグレードで72pmradのエミッタンスを目標とした先進的なラテイスの研究開発を行い、欧州の第3世代光源からの評価も高い。また加速器グループの国際共同研究も盛んで、レーザープラズマ加速器の仕事もそうした国際協力抜きには成り立たない。

レーザーウエークフイールドによる加速原理(LWFA)
ここでいうレーザー加速器の原理はレーザーウエークフイールドによる加速原理(LWFA)である。LWFAの最大の特徴は加速勾配(エネルギーゲイン)フェムト秒スケールの短パルス特性で、1cmあたり1GeVまで加速できる原理は他にはない。数kmオーダーの直線加速器が研究棟に収まってしまう。またLWFAによる加速器は、超高速電子線回折、多段コライダーおよび放射線源(ベータトロン、コンプトン、無発生電子線、自由電子レーザー)などの用途に有望である。しかし、これらの応用の中には、LWFAのビームの質、例えば①エネルギーの広がり、②発散、③ショット間の時間変動などが大幅に改善される必要があった。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン
   
新規ユーザー登録
*必須項目