(テラヘルツ関連)最小ダイアモンド分子を筒状分子に詰めた分子機械 固体のなかの超高速回転「テラヘルツ回転周波数」の実現

磯部 寛之(化学専攻 教授)
松野 太輔(化学専攻 助教)

発表のポイント

  • 筒状分子と最小ダイアモンド分子を組み合わせた分子ベアリングをつくりだしました。
  • 筒状分子が「外枠」、最小ダイアモンド分子が「内部回転子」となる小さな分子の機械「分子ベアリング」ができあがったものです。
  • この分子ベアリングの回転速度を測定したところ、「回転周波数がテラヘルツ領域にある」という超高速回転が、固体のなかで実現できることがわかりました。最近注目されているテラヘルツ科学・技術への展開が期待されます。

発表概要
東京大学大学院理学系研究科の磯部寛之教授の研究グループは、筒状分子と最小ダイアモンド分子(アダマンタン)を組み合わせた小さな分子の機械「分子ベアリング(注1)」をつくりだしました。筒状分子は主にsp2炭素(注2)からできており、最小ダイアモンド分子は主にsp3炭素(注3)からできていることから、種類の異なる炭素原子を組み合わせることでつくりあげられたハイブリッドナノカーボンです。このハイブリッドナノカーボンは固体中で内部の最小ダイアモンド分子が超高速回転しており、「回転周波数がテラヘルツ領域にある」ことが見いだされました。テラヘルツ周波数の活用は、さまざまな分野での新技術・新科学として注目されていますが、この領域の超高速回転が、固体のなかの分子回転で実現できることを初めて明示した結果となります。研究グループでは、また、この超高速回転が分子の「慣性回転」の結果であることを明らかにしており、これまで「ブラウン運動(拡散運動)」に捕らわれていた分子の固体内回転運動が慣性回転となることで超高速化できることを明らかにしました。

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