(レーザー関連)兵庫県立大学他/酸化物薄膜における超高速な強磁性の実現 – 光による新しいスピン操作の可能性を示唆!-

1. 発表者:
和達 大樹(兵庫県立大学大学院理学研究科 教授)
Yujun Zhang(研究当時:兵庫県立大学大学院理学研究科 研究員/現:中国科学院 研究員)
片山 司(研究当時:東京大学大学院理学系研究科 助教/現:北海道大学 准教授)
近松 彰(研究当時:東京大学大学院理学系研究科 助教/現:お茶の水女子大学 准教授)

2.発表のポイント:

    • 軟 X 線(注1)の反射率の磁気円二色性(注2)と共鳴磁気回折(注3)を用いて、コバルト酸化物の薄膜において、超高速な強磁性の実現の観測に成功しました。
    • レーザー(注4)をあてることで反強磁性であった薄膜が強磁性となり、磁化を増やすことができるという画期的な成果を挙げました。
    • レーザーにより強磁性を実現できるという本成果は、将来の超高速スイッチング素子につながることが期待されます。

3. 発表概要:
兵庫県立大学大学院理学研究科の和達大樹教授と Yujun Zhang研究員らは、東京大学大学院 理学系研究科の片山司助教(研究当時、現:北海道大学 准教授)と近松彰助教(研究当時、現:お茶の水女子大学 准教授)らと、ドイツのHelmholtz-Zentrum Berlin の研究グループと共同で、コバルト酸化物 GdBaCo2O5.5 の薄膜における磁気構造の超高速な変化を、軟X線の反射率の磁気円二色性と共鳴磁気回折の時間分解測定(注5)により観測に成功しました。その結果、レーザー照射してピコ秒(=1兆分の1秒)という超高速な時間の後に、反強磁性であった薄膜が強磁性となり、磁化が増加するというスピンのダイナミクスを明らかにしました。
超高速なスピンのダイナミクスは、レーザー光の照射による将来の超高速メモリーなどにつながるため、基礎学理および応用の観点から大きな注目を集めています。今回の発見により、レーザーが薄膜の磁気構造を瞬間的に変える新しい操作手段になることを実証しました。今後、光を利用したスピン操作やさまざまな物質の研究がさらに盛んになり、それを応用した次世代の光素子の開発が促進されることが期待されます。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン
   
新規ユーザー登録
*必須項目