(レーザー関連)レーザー研独自技術LTEMが非破壊・非接触で量子井戸構造半導体の光応答を読み解く

ナノスケールでGaNの厚さ分布を観測する新技術

研究成果のポイント

  • ワイドバンドギャップGaNとInGaNで構成する多重量子井戸構造半導体の光に対する複雑な高速応答を解明した。
  • InGaN/GaN多重量子井戸構造は、大きな歪と強い電界が内在し、内部に埋め込まれたアクティブ層の高速光応答を総合的に評価することは困難であった。
  • 光励起に伴う1)内部電界遮蔽、2)歪緩和音響フォノン発生、3)量子井戸内電荷振動によるテラヘルツ電磁波放射を観測することで、非破壊・非接触で埋め込まれた量子井戸内の複雑な高速光応答の観測が可能になった。
  • 表面保護層のGaNを厚さ分布10nmの精度で広く計測可能になった。
  • この技術は、大阪大学レーザー科学研究所が長年独自に進めてきたテラヘルツ波放射顕微鏡(LTEM)を応用したもので、新たな応用分野の開拓にも成功したものである。

概要
大阪大学大学院工学研究科のAbdul Mannan(アブドゥル マナン)さん(博士後期課程)、大阪大学レーザー科学研究所のBagsican Filchito Renee(バクシカン フィルチト レニ)特任研究員、山原滉太(やまはら こうた)さん(当時:大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了)、村上博成(むらかみ ひろなる)准教授、斗内政吉(とのうち まさよし)教授および京都大学大学院 エネルギー科学研究科 川山巌(かわやま いわお)准教授、独国・ブラウンシュヴァイク工科大学、ビーレフェルト大学の国際共同研究チームは、ワイドバンドギャップGaNとInGaNで構成する多重量子井戸構造半導体の光に対する複雑な応答を自由空間の放射されるテラヘルツ電磁波を用いて解明しました。またその超格子を保護するGaNキャップ層の厚さ分布をナノスケールの精度でイメージングできることを証明しました。これによりInGaN/GaN多重量子井戸構造を用いた光デバイス開発の加速が期待されます。

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