(レーザー関連)ナノスケールで整列する電子を可視化

―物性理論の常識を覆す電子のうねりの発見―

1.発表者
下志万 貴博
(理化学研究所創発物性科学研究センター 研究員)

辛 埴
(東京大学総長室特別教授室/物性研究所/マテリアルイノベーション研究センター 特別教授)

2.発表のポイント

  • 世界最高の空間分解能を有するレーザー光電子顕微鏡を用いて、鉄系超伝導体における電子の空間分布をナノメートルの精度で可視化
  • 液晶状態にある電子が、結晶格子と全く独立に存在するうねりを示すことを発見
  • これまでの物性理論では説明できない電子間に働く未知の力の存在を示唆

3.発表概要
理化学研究所創発物性科学研究センターの下志万貴博研究員、東京大学物性研究所およびマテリアルイノベーション研究センター辛埴特別教授らは、鉄系超伝導体(注1)がナノメートルスケールの電子のうねりを形成することを発見しました。
固体中の電子が互いの運動に強い影響を及ぼす強相関電子系と呼ばれる物質群では、電子が不思議な模様で整列することがあります。この電子の模様を調べることは、電子間に働く力の起源を知ることに繋がるため、固体物理学における重要な課題です。近年、電子の集団がある一方向に揃おうとする「電子液晶」状態(ネマティック秩序)(注2)が、強相関電子系である鉄系超伝導体で実現していることが指摘されています。しかし、電子の模様を調べるためにはナノメートルの空間分解能を必要とするため、これまで観測することが困難でした。

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