海の寄生虫を狙撃!養殖鮭を守るレーザー光。

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鮭は人気の海産物だ。アンケートを取ればTop3にランクインするだろう。昔から馴染みが深く、焼いて良し、揚げて良し、汁物でも鍋でも良し、の万能選手。最近では寿司ネタとしても大人気だ。
しかしながら、鮭には美味しいながらも必ずついて回る話題がある。
「寄生虫」である。

一昔前までは、「鮭は生では食べてはいけない」は常識だった。激しい腹痛を引き起こす寄生虫「アニサキス」。その症状は正に七転八倒の痛みだという。コレが付いていることが多いことを経験的に知っていた昔の人たちが、生食を避ける、という慣習を作り出した、言わば生活の知恵だ。
天然の鮭は、海にいる間オキアミ(小型のエビ)を餌とするが、このオキアミにアニサキスの幼体が寄生ししていることが多く、それを食べた鮭が感染する。
その為、天然の鮭を生で食べるのは非常に危険だ。釣ったその場で捌いて食べたい、と思うかもしれないが、一時の食欲で激痛にのた打ち回ることになる可能性が極めて高いのだ。
反面、ノルウェーやチリなどでも国策として行われている養殖の鮭は、餌に生の魚介類を使用していない為、アニサキスにあたる確率は非常に低い。しかし、アニサキスの割合は低いからと言って、他の寄生虫もそうとは限らない。

養殖は狭い範囲に1種類の魚を集めて行うわけだが、それは一カ所に大量の宿主が集合している、という寄生虫にとっては食べ放題のレストランのような状況ともいえる。その為、養殖業者は寄生虫を寄せ付けない為、駆除する為に薬品を使う等の様々な手法を取るわけだが、ノルウェーでは最新のレーザー技術を使っての寄生虫駆除が大きな効果を発揮している。

上の動画を見て頂きたい。
画面中央の装置から放たれるグリーンのレーザー光。これが鮭の体表に付着したフナムシやサケジラミを狙撃しているのだ。

  図1

防水アルミパッケージのこの装置は、外科や眼科で使用される高精度のダイオードレーザーを搭載し、体表にフナムシやサケジラミが付着した個体が通過すると、備え付けられたカメラシステムで素早くそれを認識。専用のリアルタイムソフトウェアが即反応してレーザーが照射され、寄生虫を狙撃する。射程はおよそ2m。反射率の高い鮭の肌は傷つかず、寄生虫の組織だけを破壊する仕組みだ。
図2

装置の性質上、効果があるのは体表に付着する寄生虫だけだが、駆除の薬品を使う必要が無い為、鮭に薬成分が残留することが無く、また、周囲の環境にも影響を与えることが無い。そして、魚へのダメージ0で寄生虫だけを駆除できる。体長8~10mm程度の寄生虫が、鮭の骨が露出する程喰い荒らすこともあり、大量発生すれば被害は甚大なものとなっていた。それを、薬剤を使わず駆除できるのは養殖産業の従事者にとっては大きなメリットだ。鮭以外の養殖への汎用性もあり、これから注視していくべき分野の一つなのではないだろうか。

*図1:http://spectrum.ieee.org/image/Mjg3NzEyNA.jpeg

*図2:http://spectrum.ieee.org/image/Mjg3NzEyMg.jpeg

*stingray
http://www.stingray.no/

*IEEE SPECTRUM
http://spectrum.ieee.org/semiconductors/optoelectronics/licehunting-underwater-drone-protects-salmon-with-lasers

*Laser Focus World JAPAN
http://ex-press.jp/lfwj/lfwj-news/lfwj-products-app/3576/

「執筆者:株式会社光響 緒方」