頭にレーザーセンサーやカメラを搭載。建築現場でヒューマノイドロボットが働く時代はもうすぐ!

危険な場所の作業も現場の重労働もオートで動くロボットが軽々こなして安全安心!
SF映画やアニメの世界の光景が実現する日が着実に近づいている。そんなロボットの最新情報が話題となっている。World Robot Summit 2018で、そんなヒューマノイドロボットを発表したのは産業技術総合研究所だ。この「HRP-5P」は産総研が1998年から研究開発を続けてきた、危険な現場や重労働を伴う作業を人に代わって行うことを目的としたヒューマノイドロボットの最新型となる。

いかにもロボットらしい見た目のロボットだ。見ようによっては一昔前のSF映画に出てくる戦闘型ロボットのようだが、「HRP-5P」は大いに人間を助けてくれるロボットなのだ。多くの分野の多くの工場でロボットによる作業の自動化されているが、建築現場や航空機や船舶の組み立て作業では、人力でなくてはならない部分が多く、また、危険な場所での作業や重労働が多い。だからと言って、工場のように専用の機材を取り付けても、組み立てや建設が終われば取り外さなくてはならず、しかも現場ごとに規格やサイズの異なるものを準備していてはコストがかかりすぎてしまう。しかし、ヒューマノイドロボットであれば、簡単に現場に入り、人が疲労困憊しながら行う作業を楽々こなすことができる。

人型とはいえロボット建築現場を歩き回って、正確な作業をこなせるのか。そこまで技術は進んでいるのか、と疑問に感じられる方は以下の動画をご覧になると良いだろう。


*【HRP-5P】重量のある実物の資材で建設作業に成功【産総研公式】

これまでヒューマノイドロボットが作業を行う為には、人間がある程度の補助やお膳立てをしなくてはならなかったのに対し、この「HRP-5P」は人が作業をするのと同じ環境で、同じ作業を正確に行うことができるのだ。

「HRP-5P」の頭部にはレーザーレンジファインダやカメラなど、センサー類が搭載され、周辺環境を認識し安全に作業が遂行できるように設定されている。

高精度のARマーカーにより工具の選択も自在、照明が暗いなどの悪環境でも正確に作業をすすめることが可能だ。身長180cm、体重101kgの人で言うならガチムチ体型に高出力モーターを搭載。前タイプのHRP-2改よりも関節トルクとスピードは2倍、自由度は、首2、腰3、腕8×2、脚6×2、ハンド2×2に増やされ、より人間に近い動作の実現をもたらしている。重さ11kgの大きなボードを易々と持ち上げ設置していく、流れるような作業は、この性能の大幅な向上によるものだ。

「HRP-5P」の最後のPはプロトタイプのPだとのこと。今後、更なる改良を加え完全版の「HRP-5」のお披露目をする予定だという。この完全版がそのまますぐに現場で活躍できるわけではないが、研究用はデモンストレーション用ではなく実用的なヒューマノイドロボットの完成は視野に入ってきており、2020年頃を目途に現場での実証実験も行って行く予定だという。
正にロボット時代到来か、と大いに期待できる話だ。既にボストンダイナミクス社製の『Spot mini』の販売が開始され、実際に建設現場で稼働し始めていることを考えると、映画のようにロボットが大型建築物やロケット、宇宙要塞なんかの建設を行う様子が日常風景になる日も近いのかもしれない。

参考

*産総研
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2018/pr20180927/pr20180927.html
https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/press_release/pr2018/pr20180927/fig.png (図1)
https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/press_release/pr2018/pr20180927/fig2.png (図2)

*マイナビニュース
https://news.mynavi.jp/article/20181024-712662/

執筆者:株式会社光響  緒方