Lidar、カメラ、レーダーで構成。ロールスロイス、完全自律航行船完成を目指しインテルと新システムを開発。

ロールスロイスと言えば、世界に名高く比類なき高級車メーカーというイメージが強いが、実は航空機用エンジンや艦船の製造、発電等も手掛ける企業でもある。因みに航空機用エンジン製造会社としては、世界2位の座につく大手企業だ。そのロールスロイスが、タンカーや貨物船等の自動運航システムの開発を進めていることは知られていたが、この程、インテルと契約し完全自立船の建造を発表し、同時にその前段階となる「有人船用のスマート監視システム」を発表した。

この新システムは、Lidarとカメラのネットワーク、レーダーで構成されソフトウェアで管理される。また、氷山や岩礁、他船といった障害物の検知は自動アラートで乗組員に警告されるようになっているという。インテルは、3D NAND SSDとXeonチップを提供し、1TB/日程にもなるという膨大なデータの処理を担うということだ。新システムを搭載した船はIntelligent Awarenessシステムで一括管理され、複数のデータを統合して、悪天候時の可視性の向上や障害物の回避、停泊時の接岸等に役立てられることになっている。


通常、タンカーやコンテナ船といった貨物船の乗員数は平均して20人前後とされている。最新の船では11~14人程度での運航が可能なものも存在する。以前は同サイズの船舶の運航には50人程度の人員が必要とされていた時期もあり、人員削減実現の為に船舶業界が取り組んできた技術開発等の努力が、着実に形になっている証拠でもある。ロールスロイスだけでなく、多くの企業が船舶の完全自律航行システムの開発を目指しているが、現状、岩礁の多い海域や他船の往来の激しい港などは手動での航行が常であり、水先人による誘導が行われることも多い。しかし、これらは既存の技術で対応が可能で、この先十数年の間に船舶の自律航行システムは確立するのではないかとの見通しだ。技術的な事柄よりも問題になると見られているのは法的な問題で、自律運航船に係る国際的な法制度の構築が急がれている。

それにしても、何処の業界も人員削減に勤しんでいるが、この発表に船員業界の方は戦々恐々ではないだろうか。普通に陸上で働く同年代よりも1.5~2倍程度の収入が得られると言われる船員だが、体力、精神力、時には英語力も求められる、資格取得にはそれなり以上の努力が必要な職業でもある。苦労して資格を取ったが、就職先が狭き門になってしまうかもしれない、というも怖い話だ。
とは言え、現場で働くものの思惑や感情がどうでも、進んでいくのが技術開発というものだ。
ロールスロイスは2025年までの自律航行船の完成を目指しているとのこと。そう長い期間を待たなくとも、新しいシステムで航行する船を見ることができそうだ。

参考
*GIZMODO
https://www.gizmodo.jp/2018/10/rolls-royce-intel-autonomous-ship.html

*THE VERGE
https://www.theverge.com/2018/10/15/17979252/self-driving-autonomous-ships
-drones-intel-rolls-royce-partnership

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https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f2/Logo_Rolls_Royce_por_
Hernando.svg/240px-Logo_Rolls_Royce_por_Hernando.svg.png (Top画像)

執筆者:株式会社光響  緒方