(テラヘルツ関連)室温でテラヘルツ周波数を高効率に変換できる物質を発見

~質量ゼロの電子に由来する周波数変換機構を解明~

ポイント

  • ディラック半金属の一種であるヒ化カドミウム薄膜が、テラヘルツ周波数帯の高調波を室温で非常に高効率に発生させることを発見した。
  • 高調波発生のメカニズムが、質量ゼロのディラック電子がテラヘルツ電場で加速されたことによる非線形電流であることを、超高速時間分解測定と理論計算により明らかにした。
  • ディラック半金属特有の巨大テラヘルツ非線形電流を発見したことで、テラヘルツ周波数帯における新たな周波数変換技術としての応用が期待される。

東京大学物性研究所(所長:森初果)の神田夏輝 助教、松永隆佑 准教授らの研究グループは、同研究所の池田達彦 助教および板谷次郎 准教授らの研究グループ、さらに米国の研究グループと協力して、テラヘルツ周波数(毎秒1兆回の振動数)帯の電磁波の周波数を極めて高効率に変換できる物質を発見し、さらにそのメカニズムを解明しました。テラヘルツ周波数帯は既存のエレクトロニクスをさらに数桁上回る高速周波数帯であり、この帯域の電磁波の周波数を自在に操ることは次世代高速エレクトロニクスにおいて非常に重要です。テラヘルツ帯の周波数変換素子は宇宙・天文物理学における微弱マイクロ波観測などにおいても活用されていますが、極低温でのみ利用可能な超伝導体が用いられています。

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