研究成果のポイント
- 大阪大学発案である高強度レーザーで駆動した大電流をコイルに流す手法で、地上最大級であるキロ・テスラの超強磁場を発生し、レーザーで加速した相対論的電子ビーム(光速の電子群)の高輝度を保ちつつ長距離を誘導することに世界で初めて成功。
- 従来、高強度レーザーで加速した光速の電子ビームの発散を抑制し高輝度化するのは困難とされていた。
- 実現した高輝度電子ビーム誘導法を利用することで、実験室内での星の内部状態の再現や、星の内部で起こっている核融合反応を効率的に起こすことができると期待。
概要
大阪大学レーザー科学研究所(所長 兒玉了祐)の藤岡慎介教授らの研究グループと、ボルドー大学(フランス)、マドリッド工科大学(スペイン)、エコールポリテクニーク(フランス)、オックスフォード大学(イギリス)、ヨーク大学(イギリス)、ダルシュタッド工科大学(ドイツ)との国際共同研究チームは、ネオジム磁石の約600倍の強さを有する600テスラの磁場を外部から物質に加えることで、世界で初めて、物体中を光速で流れる電子ビームを高輝度のまま長距離にわたり誘導することに成功しました。実現した高輝度電子ビームを用い、高密度物質の核融合点火温度への加熱や、レーザーによる粒子加速の高効率化が期待されます。
研究成果の内容
高強度レーザーをプラズマに照射すると、光速とほぼ等しい速度にまで電子が加速されます。この電子群は「相対論的電子ビーム」と呼ばれています。相対論的電子ビームの応用の一つとして、高密度の物質を瞬間的に加熱する「高速加熱」があります。高速加熱を用いることで、星の内部に匹敵する高温・高密度状態を実験室内で作り出し、宇宙に関わる物理現象を実験的に研究する「実験室宇宙物理学」や、「レーザー核融合高速点火」を実現できます。
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