発表のポイント:
- 軟X線自由電子レーザーを用いて元素選択的な非線形光学効果の観測に成功しました。
- 量子力学の計算によって、鉄と酸素の2重の内殻共鳴による非線形光学応答であることを実証しました。
- 軟X線自由電子レーザーを用いた新たな元素マッピング法としてさまざまな物質評価に役立てられることが期待されます。
発表概要:
東京大学物性研究所の松田巌准教授と赤井久純特任研究員らの研究グループは、理化学研究所の矢橋牧名グループディレクター、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の有馬孝尚教授、東京理科大学の小嗣真人准教授、分子科学研究所の繁政英治技術課長、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の組頭広志教授、高輝度光科学研究センターの登野健介チームリーダーの各研究グループと共同で、X線自由電子レーザー施設 SACLAを用いた軟X線の非線形光学効果(第2次高調波発生)を観測することに成功しました。また光物性の量子力学計算によって、この信号発生は内殻共鳴効果が2重に発生することで増幅されることも明らかになりました。物質の界面や対称性の破れた特殊な秩序を観測できる非線形光学効果に、元素選択性を持つ軟X線を用いることで、界面の元素マッピングや界面で起こる現象を選択的に観測できると考えられます。本結果はその観測が技術的に可能である事を実証しました。今後、非線形光学信号に元素選択性が加わった新たな材料分析法として、ナノデバイス界面を原子レベルで分析するなどさまざまな利用が期待されます。本研究成果はアメリカ物理学会の速報誌「Physical Review Letters」に掲載予定です(5月28日(月)オンライン版掲載予定。前後する可能性あり)。
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