森林を歩いていて聞こえてくるのは、草や土、落ち葉を踏む音、風の音に風に揺れる枝葉の音、虫の声に鳥の声。それに、レーザーガンの発射音。嘘だと思うかもしれないが本当だ。証拠の動画を以下でご確認頂ける。
*Lyrebird: The Best Songbird Ever!
ナンダコレ感が凄まじいが、合成ではなく正真正銘本物の鳥の鳴き声だ。レーザー銃の音だけでなく、所々でスターウォーズのR2D2的な音が入っているのが、SFっぽさに拍車をかけている。
いや、本当は見えないだけで、本当は口から破壊力のあるレーザー光線を吐き出しているのかもしれないが。物まねをする鳥はオウムやインコ、九官鳥あたりがポピュラーだが、王者は間違いなくこの映像の鳥「コトドリ」だろう。オーストラリアに生息するコトドリは長い尾羽が特徴で、カメラのシャッター音や、チェーンソー等の人工音も模写することで知られている。一説によると物まね出来る数が多いほど雌にモテるカッコイイ雄なのだとか。因みに、オーストラリアの10セント硬貨にはこのコトドリが描かれている。
しかし、我々人間は、意気揚々とレーザーガンを発射しているコトドリ氏に、残念な知らせを伝えなければならないかもしれない。現在の所、所謂ハンドガンタイプのレーザー銃の開発に成功したという話は聞こえてこないが、先日、中国がレーザーアサルトライフルを開発した、と発表したこともあり、そうそう遠くはない未来に、スターウォーズやSF映画等で多用されるレーザーガンがお目見えするのではないか、と感じられるのだが、もし仮に実現したとしても、今現在私たちが想像するような銃とは大きな部分が異なる物になる、ということは間違いない。
レーザーガンは撃っても音がしない。これは基本中の基本だ。『音が無く、目に見えず、何処から撃たれたのか分からない。』レーザー兵器のメリットはコレだ。実弾を大量に持ち運ぶ必要がないとか、弾切れしないとか、様々に色々にあるだろうが基本はこれだ。そもそも、レーザーは光だ、光を放っても音は出ない。ひょっとしたら、レーザーガン開発後に遊び心を持った研究者の誰かが、引き金を引くとあの音が出る機能を取り付けてくれたりするかもしれないが、そんなものを制式銃に採用する軍や警察はまず無いだろう。つまり、コトドリ氏のあのレーザーガンの発射音は、今も未来も真っ赤な偽物、ということになってしまうのだ。
これではあまりに哀れだ。ということで、音が出るレーザー兵器はないものか、専門家に訊ねてみた。レーザーの他、SF関連にも造詣の深いK氏によると、レーザーガン(砲)は実弾を撃つライフルや拳銃と違って、所謂バレル、銃身を必要としない。が、何らかの理由や、機能を付随させる目的で銃身を備えた物が出来たとする。そしてその細いバレルのなかで高温のレーザー光を発生させた場合、それにより熱せられた空気が急速に膨張して爆発し、音がすることはあるかもしれない、とのこと。小規模な雷、と思えばいいだろうか。なるほど、絶対に音が出ないと決まっているわけではないようだ。
しかし、「音は出るかもしれないけど、「チュインッ!」っていうあの音は出ませんよ。」とのこと。誠に残念ではあるが、やはり無理なものは無理なのだ。まぁ、そもそもが映画等での音は、無音で撃ち合っても臨場感に欠けるし盛り上がらないから音を付けよう、という効果音なわけだから仕方がないのかもしれない。突き詰めてしまえば、光線が目に見えるレーザー兵器や、宇宙で轟音を立てて爆発する宇宙船等あるのだから、細かいところは気にしないのがベストな方法だろう。
コトドリ氏には申し訳ないが、あの音のするレーザーガンの実現は諦めた方が良さそうだ。しかし、全世界のSFファンと、コトドリのレディ達からの熱い支持を受けられる可能性は大いにある。
コトドリ族の紳士たちには今後も人間たちの度肝を抜くべく、新たな音の体得に邁進して欲しいものだ。
参考
*wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%88%E3%83%89%E3%83%AA
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/ae/Superb_lyrbird_in_scrub.jpg/1024px-Superb_lyrbird_in_scrub.jpg (Top画像)
執筆者:株式会社光響 緒方