(レーザー関連)原子の無秩序な動きに駆動される絶縁体-金属相転移

理化学研究所(理研)放射光科学研究センタービームライン開発チームの片山哲夫客員研究員(高輝度光科学研究センター実験技術開発チーム研究員)らの国際共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)施設を利用し、二酸化バナジウム(VO2)の「絶縁体-金属相転移」は、個々のバナジウムイオン(V4+)が無秩序に動くことで引き起こされることを実証しました。本研究成果は、光で物性を制御するための新たな知見を示したものであり、今後、光誘起超伝導などの応用につながると期待できます。二酸化バナジウムは、室温から温度を上げていくと絶縁体から金属に変化します。このとき、二酸化バナジウムを構成しているバナジウムイオンの周期的な対構造が消失し、バナジウムイオン間の距離が均等になります。これまで、この構造変化は個々のバナジウムイオンの協奏的な動きによって起こるとされていました。今回、国際共同研究グループは、フェムト秒(fs、fsは1,000兆分の1秒)のパルス幅を持つXFELを用いて、個々のバナジウムイオンの無秩序な動きとバナジウムイオンの対構造の消失が同じ時間スケールで起きていることを発見しました。これは、二酸化バナジウムの絶縁体-金属相転移が原子(イオン)の無秩序な動きに駆動されており、従来の定説とは異なるメカニズムであることを示しています。本研究は、米国の科学雑誌『Science』オンライン版(11月2日付け)に掲載されました。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン
   
新規ユーザー登録
*必須項目