(レーザー関連)我が国独自の手法でレーザー核融合点火が射程内に/世界一の効率で太陽内部200億気圧の極限状態を地上に実現

研究成果のポイント

  • 世界最大級のパワー(瞬間的出力が世界中で消費される電気パワーの1000倍)を誇るLFEXレーザーを用いて、世界一の効率で太陽中心の1/10に匹敵する超高圧力状態(200億気圧)のプラズマの生成に成功しました。
  • 高速点火方式という独自の高効率レーザー核融合方式の燃料加熱の物理機構が明らかになり、核融合点火が射程内に入ってきました。
  • 今回の成果は、レーザー核融合研究で最も進んでいる米国に比べて、5倍程度の効率で超高温・超高圧力のプラズマの生成に成功しており、世界一の高効率でレーザー核融合実現に向け大きく前進したことを意味します。
  • 今回の成功のカギの1つは、超高強度のレーザーでプラズマを加熱しつづける長時間加熱です。大阪大学のLFEXレーザーは、比較的長時間(それでも僅か1兆分の1秒)の加熱が可能で、他の施設にはない特徴です。

概要
大阪大学レーザー科学研究所(所長 兒玉了祐)の藤岡慎介教授と千徳靖彦教授の研究グループ、広島大学工学研究科、米国ネバダ大学リノ校、レーザー技術総合研究所、米国パデュー大学、自然科学研究機構核融合科学研究所、光産業創成大学院大学所属の研究者らで構成された国際共同研究チームは、世界最大級の2ペタワットのパワーを誇るLFEXレーザーを用いて、レーザー核融合エネルギーの実現に必要な高圧力に迫りました。実現したプラズマの温度は2千万度で圧力は200億気圧という驚異的な値であり、太陽内部の圧力に匹敵します。成果の実現には、1キロテスラ(一般的な磁石の1000倍の強さ)という地上最大級の磁石の発明と、加熱レーザーで駆動される熱波が寄与しました。大型装置を用い、多数の研究者が関わるプロジェクト研究でありながら、教員の指導の下、博士前期/後期課程に在籍する学生が主体的に研究を遂行した点も重要な特色です。
本研究成果は、米国物理学会(American Physical Society)が刊行する物理学専門速報誌「フィジカル・レビュー・レターズ誌 (Physical Review Letters)」に12月20日(金)に掲載されました。

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