(レーザー関連)レーザー光による固体内電子運動の操作で光の発生制御に成功

―超高速な光制御・スイッチング素子や新しい光源の開発に期待―

概要
京都大学化学研究所の廣理英基 准教授、金光義彦 教授、佐成晏之 理学研究科博士課程学生と国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の乙部智仁 上席研究員らの研究グループは、波長の異なる強い近赤外のレーザー光パルスを半導体材料GaSeに同時に照射すると、可視から紫外光領域にわたって発生する高次高調波光の偏光特性を操作する方法を発見しました。近年、高強度レーザー光の固体への照射により、入力したレーザー光の整数倍の波長を持つ高次高調波が発生することが観測され、新たな光源利用などへの応用が注目されています。これまで2つのレーザー光を照射した時の高次高調波光についての発生機構は不明であり、広範囲な波長変換の手法や偏光方向の制御技術の開発には利用されてきませんでした。本研究において、半導体GaSeに異なる2色のレーザー光を照射すると、発生する高次高調波光の特性が入射する2つレーザー光の偏光状態と結晶の方位角度に強く依存することを初めて発見しました。さらに高次高調波光の偏光状態はレーザー光の電場で強く駆動される電子の運動に関係づけられることを突き止めました。本研究でレーザーの光電場の周期という極めて短い時間内で固体中の電子運動を操作できることがわかり、高次高調波光の特性を制御する技術だけでなく、レーザー光の電場で制御する次世代の光エレクトロニクスにもつながると期待されます。
本研究成果は、2020年6月17日に国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

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