~極限時空間分解能を有する夢の分光法開発への第一歩~
【本研究のポイント】
- テラヘルツ電場駆動走査トンネル顕微鏡(THz-STM)に発光測定手法を組み合わせた THz-STM 発光分光法を開発
- 世界で初めて超高速に駆動されたトンネル電子により励起される局在プラズモンからの発光を観測
- 原子レベルの空間分解能、ピコ秒の時間分解能でエネルギー変換過程を調べる新たな極限時空間分光手法の実現への重要な一歩
【研究概要】
横浜国立大学(以下 横国大)の武田淳教授、片山郁文教授、理化学研究所(以下 理研)開拓研究本部 Kim表面界面科学研究室の金有洙主任研究員、今田裕上級研究員、木村謙介基礎科学特別研究員らの研究グループは、テラヘルツ(THz)光パルスにより超高速に操作されたトンネル電子が引き金となるエネルギー変換過程を計測する新たな分光手法の開発に成功しました。これは、両グループが独自開発してきたTHz光パルスを用いて超高速に動作する走査トンネル顕微鏡(STM)(THz-STM)と光計測が可能なSTM(STM 発光分光法) という二つの世界最先端技術を組み合わせることで実現されたものであり、STMの探針と試料間に局在するプラズモンから生じる発光の検出を行いました。この手法を発展させることで、原子スケールの空間分解能とピコ秒の時間分解能を両立して量子系のエネルギー変換過程を追跡する事が可能となり、極限時空間分解能を有する夢の分光手法実現に貢献すると期待されます。
本研究成果は、2021年1月27日に米国化学会学術誌ACS Photonics誌の on-line 版に掲載され、Supplementary Journal Coverとなりました。なお、本研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金(課題番号 20H05662, 20H00326, 18H05257, 17H06124, 20H02653, 17H04796, 18J11856, 20K22488)、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)(課題番号 JPMJPR1862)の補助を受けて行われました。
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