(レーザー関連)広島大学他/マグロ刺身の「食べごろ」を散乱光で評価

-解凍後72時間に三つの筋肉分解プロセスが存在-

概要

 理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター先端バイオイメージング研究チームの渡邉朋信チームリーダー(広島大学原爆放射線医科学研究所教授)、広島大学原爆放射線医科学研究所の藤田英明助教らの共同研究チームは、非線形光散乱現象を魚肉の鮮度評価に応用し、マグロが熟成する過程における筋肉分解の進み具合を定量化する新技術を開発しました。魚肉に直接触れることなくレーザー光を当て、歯応えなどの食感(粘性や弾性)を非接触で評価できます。
 本研究成果は、世界に広がる寿司や刺身など魚の生食文化の発展に向けて、鮮魚の安全検査や冷蔵保管時の品質検査の基盤技術になり得ると期待されます。
 食用魚は低温下一定時間寝かせて熟成することでイノシン酸などのうま味成分が増すことが知られ、これらうま味成分を計測する方法は多々存在しています。一方で、鮮魚のおいしさはうま味成分のみで決まらず、歯応えなどの食感も重要な要素です。食感は熟成する過程において、肉身を構成する筋肉の分解の進み具合が大きく影響しています。
 今回、共同研究チームは非線形光学現象[1]の一つである光第二高調波発生(SHG)を応用した偏光顕微鏡[1]を用いて、解凍後のマグロの切り身の熟成過程における筋肉分解を、定量化しました。その結果、解凍後72時間までに少なくとも三つの筋肉分解プロセスが存在することを発見しました。これは、鮮魚の低温保管下における筋肉分解を非接触、非侵襲で直接評価した初めての実験例です。
 本研究は、科学雑誌『Journal of Food Engineering』2025年5月号掲載に先立ちオンライン(2024年12月7日付)で掲載されました。

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