-透視検査用光源として実用化に期待-
理化学研究所(理研)光量子工学研究センターテラヘルツ量子素子研究チームの王利研究員、林宗澤研究員、平山秀樹チームリーダーらの研究チームは、小型で高出力のテラヘルツ(THz)光[1]レーザー素子として実用化が期待されるテラヘルツ量子カスケードレーザー(THz-QCL)[2]の室温以上における発振動作を初めて理論的に予測しました。
本研究成果は、透視検査や無線通信、THz-LiDAR[3]などの応用に向けたTHz-QCL光源の実用化に貢献すると期待できます。
今回、研究チームは、これまで低温でしか動作しなかったTHz-QCLの高温動作を可能にするため、動作機構を刷新する量子構造を取り入れました。その結果、従来の最高動作温度である250K(-23℃)を大幅に上回る340K(67℃)でレーザー発振が可能であることを、非平衡グリーン関数法(NEGF法)[4]を用いた厳密解析により明らかにしました。複数のリーク電流経路を完全に遮断する「アイソレート3準位機構[5]」と、従来の共鳴トンネル注入[6]を改変した「間接注入機構[7]」を用いることで高温動作が可能になり、これを実現する「変形2量子井戸型構造[8]」を導入することで、初めて室温以上でレーザー発振に必要な光利得[9]が得られることを示しました。
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