お米には一粒に付き7人の神様が宿っている。古くから日本ではこう言われているわけだが、これには諸説があり、米一俵につき6人の神様、米一粒に付き88人の神様、と様々だ。米一俵=60kg。つまり10kgにつき1人の神様でも国内の米の総量から考えると凄い数の神様がいる事になるが、これが一粒につき7人、ましてや88人ということになれば、神様の総数は確実に地球の総人口を超えるレベルである。八百万の神様は伊達ではない。因みに、米一合=150g。6500~7000粒程になる。言い伝えはさて置き、日本人にとって大変に重要だった米で、ある偉業が成し遂げられた。
発端は、PR代理店TIME社が計画した「世界最小のお知らせ」だ。サービス開始10周年を記念して、文章や事柄ではなく、現実的にサイズが極小のお知らせを発行することを計画。その結果、プレスリリースを『米一粒』に刻んで送ろう、と決定した。という、エイプリルフール企画を立ち上げた。
そしてその企画を、新潟県三条市にある金属加工会社・板垣金属株式会社に持ち込んだことで、この計画は大いに躍進することになる。この板垣金属株式会社はもともと鋼板の切断や曲げの加工を行う会社だったのだが、当代社長が展示会でドイツ製レーザー切断機に一目ぼれし、恋い焦がれた余りに1億4000万円かけてその切断機を購入してから、大きな方針転換を行った。購入当時は1985年。分厚い鋼板を如何に美しく切断するか、を競い合っていた時代だ。その頃に、板垣金属株式会社は真逆の方向に舵を切った。即ち、微細加工技術を磨くことで勝負に出たのだ。結果として、現在は超精密微細レーザー加工による半導体や、血管や器官に挿入する医療機器の製造を行う企業となっている。
(図1)
米粒に文字や絵を描くだけならば、当然難しくはあるがそうそう珍しくはない。米粒アートとしてある程度の認知を受けている程だ。しかし、これが一文字ではなく文章となると話は別だ。文字は一文字当たりの高さが295ミクロン。普通用紙3枚分程の高さに納めなくてはならない。そして何よりも困難を極めたのは、米粒表面の凹凸と曲面だったという。レーザー加工はレーザー光を1点に集中させて表面に彫刻を施すわけだから、平面の金属が相手ならば容易だ。しかし、米粒はほぼ楕円形の曲面な上、不規則な凹凸に包まれている。米を研ぐ時にも食べる時にも、収穫する農家の方々でもほとんど気にしないこの凹凸が、最大の難関となってしまったのだ。平面でないことからレーザー光の焦点がずれ、米粒が焦げる、彫った文字がかすれる。或いは、レーザーの衝撃で割れる、ひびが入る。他にも、文字に色を付ける為の竹炭が米に浸透してしまい文字が滲む等々、数ある難局をクリアし、試行錯誤を重ねた結果、焦点の上下に強い、リチウムイオン電池の電極加工用のレーザー加工機を使用して、遂に、『世界最小のお知らせ』は現実のものになった。
(図2)
(図3)
米は大粒の「新之助」という新しい品種を使用した。製作期間は9か月、と既にエイプリルフールは過ぎ去ってしまっているが、正に嘘を誠にしてしまった瞬間だった。PR TIMESはプレスリリースとしてこの『世界最小のお知らせ』を各社に送付している。「古来より様々な神事や祭事でのお供え物として捧げられ、 人々の想いや願いを「込める」存在として端を発するお米に、そんな想いをこめました。」と語るPR TIMESと板垣金属株式会社の心意気に興味のある方は、10月10日~12月8日まで東京青山のPR TIMES社屋エントランスでも公開しているので、プレス関係者でなくても現物を見ることができる。
*youtube 加工動画
米は大粒の「新之助」という新しい品種を使用した。製作期間は9か月、と既にエイプリルフールは過ぎ去ってしまっているが、正に嘘を誠にしてしまった瞬間だった。PR TIMESはプレスリリースとしてこの『世界最小のお知らせ』を各社に送付している。「古来より様々な神事や祭事でのお供え物として捧げられ、 人々の想いや願いを「込める」存在として端を発するお米に、そんな想いをこめました。」と語るPR TIMESと板垣金属株式会社の心意気に興味のある方は、10月10日~12月8日まで東京青山のPR TIMES社屋エントランスでも公開しているので、プレス関係者でなくても現物を見ることができる。
*youtube 加工動画
参考
*PR TIMES
https://prtimes.jp/wspr/
*板垣金属株式会社
http://www.e-call.biz/
*livedoor NEWS
http://news.livedoor.com/article/detail/13729896/
http://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/8/a/8a6bf_1559_eee2201812a52ec2cd7121452087649f.jpg(図1)
http://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/6/7/675ad_1559_6ad5edc4723a126255c9819ba0d8804b.png(図3)
*週刊アスキー
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/405/405508/
http://ascii.jp/elem/000/001/566/1566456/image_uploaded_from_ios_1024_x480.jpg(図2)
「執筆者:株式会社光響 緒方」