以前にお伝えした網膜走査型レーザーアイウェアの第一弾がいよいよ発売される。製品名は『RETISSA® Display』。研究・開発が続けられてきたレーザー網膜走査技術「VISIRIUM®テクノロジ」を駆使した製品となっている。
「VISIRIUM®テクノロジ」は、三原色レーザー光源からの微弱な光と高速振動するMEMSミラーを組み合わせて、網膜上に映像を描き出す技術だ。網膜に直接描くわけだから、視力やピント調節機能に影響されないフリーフォーカスで、眼鏡やコンタクトレンズを使わなくてもピントずれの心配が全くない。「見る」ことを妨げられることなく、自然に無理なく視界にデジタル情報を融合させることが可能になる。
発売が決定した『RETISSA® Display』は、独自開発された投影光学系により、極限までの小型化を実現したプロジェクターを眼鏡フレームの内側に搭載したヘッドマウントディスプレイ(HDM)だ。左目では普通のガラスレンズから、そのままの生の風景が見える。そして、右目の網膜に直接映像を投影し、それを脳内で重ね合わせる。視野中心部にHDMI端子で接続できる機器からのデジタル映像を投影するが、超小型プロジェクターから照射されたレーザー光は、一度瞳孔の中心で収束し、そこから網膜に投影される。この方法は目のレンズの役割を果たしている水晶体の影響を受けにくく、視力やピント位置も関係ないので、眼鏡やコンタクトレンズを使わなくても、クリアな映像を見ることができる。まさに、ARアプリに最適である。
独自開発の投影光学系により極限まで小型化されたプロジェクターは、眼鏡型フレームの内側に搭載され、外部にでっぱりを作らない。その為、普通の眼鏡やサングラスと殆ど変わらず、いつでもどこでも誰でも使える、を目指しているというデザインは、見事に成功しているようだ。仮に人ごみで使ってみたとして、これがHDMだと気付く人は何人いるだろうか。
尚、レーザーを直接網膜に、と聞いて、目への影響を気にする方もおられるだろうが、非常に弱いレーザーを使用している為、健康被害は無い、とのこと。安心してお使い頂いて大丈夫だ。国内での販売は、今年7月から開始される。受注開始は4月からの予定だ。三原色半導体レーザーを光源とした網膜走査プロジェクター内蔵型ヘッドマウントディスプレイの一般販売は世界初となっている。
国内外から注目を集める製品となりそうだ。
参考
*QDレーザー
http://www.qdlaser.com/applications/eyewear.html
http://www.qdlaser.com/uploads/2018/01/180104-RETISSA-Display.pdf (Top画像)
http://www.qdlaser.com/uploads/2018/01/180104-RETISSA-Display.pdf (図1)
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執筆者: 株式会社光響 緒方