結果が出るまでたったの1分。手のひらのレーザースキャンで野菜不足が測定できる便利システム。

食は大事だ。生物は須らく食物を摂取しなければ生存できない。生物の種類によって食べる物は其々異なるが、食べなければならない、ということは同じだ。草食獣なら草を、肉食獣なら肉をと食べる物が固定されている動物もいれば、何でも食べるよ、野菜も草もお肉も大好きという好き嫌いの無い雑食動物もいる。人間は勿論、雑食動物に分類されるわけだから何でも食べる。というより食べなければならない、が正しいだろうか。文明の発展に伴って、狩猟から牧畜・農耕へと変化し野生に生きる動物たちよりも食料の調達が容易になった人類が、より美味しいものを、と求めるようになったのは当然の帰結だ。野草は野菜へ、野生生物は家畜へ、とより食べやすく美味しく育んできた。
そうして、改良に改良を重ねた結果、美味な食材を手に入れてきた。どちらも美味しく食べよう、何でも食べよう、は理想なわけだがそれはあくまでも理想だ。

人体の構造上、健康のことを考えれば肉、魚に加えて野菜は必要不可欠だ。栄養バランスを無視した食事は、万病の元だ。しかし、分かっていても偏食してしまうのは人の性だ。肉は美味だ。魚も美味だ。甘いものは最高だ。野菜?? 気が向いたらね!

そんな人が一定数存在していることは間違いない。ここまでではなくとも、何となく面倒くさくて、或いはしっかり野菜も摂取しているつもりだけれども本当は足りていない、という人はもっともっと多い筈だ。というよりも、理想的な分量の野菜を毎日欠かさず摂取できている、という人の方が少数派だろう。きちんと野菜を食べられているのかチェックしたい、でもそんなことで血液検査だの尿検査だの受けるのはちょっとね、という方の為に、画期的なシステムが開発されていることをお知らせしたい。アメリカ・エール大学公衆衛生大学院とユタ大学の共同開発により実現した、スキャンシステムだ。このシステムは、果物や野菜に含まれる天然色素(カルテロイド)の濃度を、共鳴ラマン分光法(RRS)という技術で簡単且つ素早く測定してくれるのだ。その方法は、レーザーで手のひらをスキャンするだけ。驚愕の簡単さだ。

手のひらにレーザーを照射し、分子振動によって散乱される光を分光器に通してスペクトルを検出。そのデータをコンピューターで分析し、皮膚中のカロテノイド濃度を計測する。しかも、スキャン30秒、分析30秒の合計1分という超短時間で測定結果が出るのだ。病院での長い長い待ち時間のあと、採血で針を刺されて痛い思いをしたり、面倒な尿検査をしたり、挙句に検査結果が出るまでまたしても長時間待たされたりする必要は全くないのだ。しかも通常、血液検査や尿検査で分かるのは過去数週間程度だが、このRRSなら2~3ヵ月分摂取量を測定することが出来るのだ。もう直ぐにでも利用したい便利システムだが、残念ながら実用化はもう少し先になる見込みだ。このシステムは、野菜と果物の摂取量を同時に測定するシステムだ。つまり、野菜は食べずに果物ばかり食べていたとしても、摂取量は充分だ、診断されてしまうということになる。果物も不可欠な栄養素をたくさん含んでいる重要な食材ではあるけれども、そればかりで良い分けではない。

開発をさらに進め、きちんと野菜と果物、どちらの摂取量も正確に測定できるようにすることが今後の目標だということだ。

参考
*Newsweek
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/02/post-6947.php

執筆者:株式会社光響  緒方