犯罪捜査に新技術。LIDARで埋められた遺体を発見

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自動運転に測量にロボット掃除機に、と身近な所にもそうでない所にも色々様々使われることが普通になってきたLIDAR技術。このレーザーによる測距技術が、意外極まりない場所で活用されようとしている。上空からLIDARを使って地上をスキャンして測量を行う技術はもはや常識となっているが、それを応用して、地面の下に埋められた遺体を発見する、という研究が進められているのだ。
つまり、殺人や死体遺棄事件等の犯罪捜査に役立てようという試みだ。

この技術を開発しているのは、アメリカ・オークリッジ国立研究所とテネシー大学の研究員たち。
テネシー大学は1981年に世界で初となる「ボディファーム」(死体農場)を設置したことで知られている。物騒な名前の施設だが、自然の中での人間の遺体の腐敗過程等を研究する為の施設で、広大な敷地の中の森林や湿地帯、荒地等に献体された遺体を置き、その状態を観察・研究し、犯罪捜査等に役立てている。このボディファームに実験への協力の為に献体された遺体を、実際に犯罪に巻き込まれた、と想定して、スコップやシャベルで穴を掘って埋め、外からは分からないように落ち葉などで覆い隠した。また、実際の事件に近い状況となるように、着衣のまま、ロープや手錠で拘束した状態、というように様々なパターンを設定し、キーケースや銃弾を追加したものもある。埋める人数も1体の場合や複数の場合、或いは、穴を掘ったが埋めなかったということを想定して、遺体を入れずに埋め戻した場所も設けられた。

表面上は綺麗に地ならしされていても、埋められて遺体の腐敗が進めば地表は沈み、凹凸が現れる。人間の目では分からないその凹凸をLIDARで検出し、死体の在り処を発見できないか、というのがこの実験だ。結果、遺体を埋めずに戻した箇所での地面の凹みはほとんど見られなかったが、遺体を埋めた箇所では明らかな凹みが計測されることが分かった。分解能の高いLIDRは人間が捉えることができない地表の変化を確実に計測し、遺体が埋められた場所のみを正確に検出することに成功したのだ。

現在、遺体の捜索は捜査員や警察犬/探査犬が行っているが、これをサポートする形でこのシステムを使えば、発見率の向上や発見までの期間の短縮化も見込めるのではないだろうか。新しいLIDARの活用方法として、捜査技術の発展の一つとして、今後が気になる技術だ。

参考
*GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180808-lidar-detect-murder-victim/

*MOTERBOARD
https://motherboard.vice.com/en_us/article/ev85wa/finding-murder-victims-in-unmarked-graves-can-be-made-easier-with-lasers-study-shows
https://tabizine.jp/wp-content/uploads/2014/11/24254-10.jpg (Top画像)

執筆者:株式会社光響  緒方