次世代通信技術への突破口となるか。高温レーザーで雲に穴を開けて悪天候でもレーザー通信が可能に!!

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日々意識することは殆ど無いが多くの現代人がお世話になっている存在が地球を周回している。通信衛星だ。BS放送やGPSは、最早日常生活の重要な一角を占め、不可欠なものとなっていると言っても過言ではないだろう。カーナビを始め、携帯電話にも家畜の放牧にも、クジラの生態観察にも、また時にはご老人の徘徊防止のシステムとしても活用され、正に現代的な生活を送る為の必須システムとなっている。しかし、完全無欠のシステムというわけではなく、弱点も存在する。
伝送にタイムラグが発生すること、豪雨・太陽雑音等の悪天候による一時的な通信状態の低下。更に、エリア内なら誰でも受信できる、という利点は、裏を返せばどんな情報でも見放題で機密性に乏しいということだ。信号の暗号化は必須だ。

そこで次世代の通信技術として研究開発が進められているのが、レーザーを使用した無線通信だが、こちらも光の性質上、悪天候には弱い。厚い雲に覆われたり、地上に霧が発生している場合の、安定した通信状態の維持が課題の一つだった。この問題を解決する技術を、スイス・ジュネーブ大学の研究チームが発表した。『1500度以上に大気を熱するレーザーで分厚い雲に穴を開けてレーザーを通す』

なんとも豪快な力技的解決方法だ。
雲は極小の水滴の集まりだ。高温レーザーは水滴を弾き飛ばす衝撃波を発生させ、数cmの穴を開ける。その小さなトンネルをレーザーが通り抜けて地上に到達する、というわけだ。

レーザーによる通信は、現在の電波通信の約10000倍の情報量を扱うことができる。しかも、チャンネル数に制限が無く、個別での運用が可能なのでセキュリティの問題も解決してくれる。また、宇宙空間での衛星同士のやり取りや、地上・衛星間の大規模ネットワークの構築も可能だと期待されている。これまで研究者たちは、レーザーによる信号を受信する為の基地局を所在地の気候に応じて選択できるシステムの開発などに取り組んできたが、相手が気候であるだけに、選んだ基地局が必ず晴れているという保証はできない、というのが実情だった。100%当たる天気予報が無いのと同じ理由だ。この問題を高温レーザーは一気に解決し、より精度の高い通信網確立の糸口となってくれるかもしれない。

現在、研究者たちは実際の雲の10,000倍の水蒸気を含んだ厚さ50cmの人工雲でテストを行っており、厚さ1kmの雲でのテストももう間もなく行えるだろうとのこと。2025年には実際に通信を行うこと目標にしている。

しかしこのレーザー、鳥に当たったら大変な事になってしまうのではないだろうか。航空機ならレーザーが通過する近辺を飛行禁止区域に設定すれば回避は容易だが、鳥はそうはいかないだろう。接触すれば即死は免れない。こういう問題点の解決も含め、今後の進展に注目して行きたい技術だ。

参考
*Daily Mail
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-6295029/Scientists-want-use-ultra-hot-space-lasers-punch-holes-CLOUDS.html
https://i.dailymail.co.uk/1s/2018/10/19/14/5201616-0-image-a-19_1539957153891.jpg (図1)
https://i.dailymail.co.uk/1s/2018/10/19/14/5201614-0-image-a-18_1539957128748.jpg (図2)

*TOCANA
https://tocana.jp/2018/10/post_18596_entry_2.html

http://www.kenkai.jaxa.jp/research/communication/img/comm-02.jpg (Top画像)

執筆者:株式会社光響  緒方