発表のポイント
- 「量子センサー」は、細胞内のわずかな生命現象の変化をとらえることのできる次世代の超高感度センサーとして注目されている。
- 既存技術で作製できる量子センサーは数十ナノメートルサイズが限界で、細胞小器官や巨大な分子集団の情報を得るにとどまっていた。より小さいタンパク質などの分子の変化を計測するためには、極少サイズの量子センサーが必要。
- 本研究では、ナノメートルの均一なダイヤモンドに電子線照射と化学処理をすることで、世界最小の「量子センサー」を作製する方法を世界で初めて開発した。
- 「量子センサー」を用いて生きた細胞内部の詳細な情報を取得することで、たとえば認知症や老化のメカニズムを解明するなどの生命科学研究への幅広い貢献が期待できる。
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長 平野俊夫。以下「量研」という。)量子生命科学領域の白川昌宏領域研究統括(京都大学教授)、同・次世代量子センサーグループ寺田大紀氏(京都大学大学院工学研究科博士後期課程学生)・五十嵐龍治グループリーダー、および物質量子機能化グループ小野田忍主幹研究員・大島武グループリーダーらは、瀬川拓也ファビアン博士(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)、アレクサンダー・I・シャメス博士(ネゲヴ・ベン=グリオン大学、イスラエル)、大澤映二取締役社長((株)ナノ炭素研究所)および京都大学と共同で、生命現象や細胞内環境を精密計測するための次世代ツールとして期待される、世界最小の5ナノメートルのダイヤモンドで高感度な量子センサーの開発に世界で初めて成功しました。
疾病や細胞の老化・がん化、放射線に対する細胞応答など、生命現象が引き起こす生体内の変化は非常に小さく、その多くは既存の技術ではとらえることができません。その様な現象を正確に理解するためには、細胞や分子のわずかな変化に敏感に応答するセンサーが必要となります。そこで量研量子生命科学領域では、ダイヤモンドを材料とする「量子センサー」に注目し、その開発に取り組んでいます。
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