◆発表のポイント
- 仏日の国際協力により、世界を代表する高強度レーザー施設を相補的に使った実験を行いました。
- 水を主成分とする惑星模擬試料をレーザーで圧縮したところ、光を反射する金属状態になりました。また、試料が炭素を含む場合に反射率が上昇することがわかりました。
- 天王星や海王星の強い磁場は、このような金属的な流体中の電流が起源だと考えられます。
太陽系の惑星のうち最も外側にある天王星と海王星は、水を主な成分としており、そこに炭素や窒素を含む分子(メタンやアンモニア)が少し混じっていると考えられています。これらの惑星は、地球の数十倍の強さの磁場をつくる源を内部に持っていますが、その発生のメカニズムは大きな謎でした。岡山大学惑星物質研究所の奥地拓生准教授、大阪大学大学院工学研究科の尾崎典雅准教授らの研究グループは、仏日を代表する二つの高強度レーザー施設を相補的に使って、この謎を解くための実験を行いました。実験では、水を主成分として、炭素や窒素を含む三種類の液体を混合した試料を、レーザーを使って強く圧縮しました。この手法で300万気圧に達する惑星内部の圧力をうまく発生できるのですが、それはナノ秒という短い時間しか維持されません。独自の計測技術により、液体試料の性質をこの短時間のうちに計測したところ、それらは光を反射する金属の状態になっていました。また、炭素を含む場合に反射率は顕著に上昇しました。この結果から、惑星内部にある磁場の源が“金属の水”に流れる電流であり、そこに含まれるメタンが分解して生成した炭素イオンが水の性質に影響を与えていることがわかりました。
本研究成果は7月12日英国時間午前10時(日本時間12日午後6時)に、英国の学術誌「Scientific Reports」のOnline Publication として掲載されます。
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