(レーザー関連)量子科学技術研究開発機構/人の手に頼らないロボット点検技術のイノベーション

『レーザー打音検査装置』のタイルパネル診断支援への拡大

掲載日:2023年3月28日更新

 株式会社建設技術研究所(代表取締役社長:中村哲己)は、理研発・QST認定ベンチャーの株式会社フォトンラボとの業務提携、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)との共同研究により、人力打音検査を代替え・定量化する「レーザー打音検査装置」を国内で初めてトンネル内装曲面タイルパネルの診断支援に活用し、有効であることを確認しました。これにより、トンネル内装曲面タイルパネル点検の効率化と点検技術者の身体的な苦痛からの解放が期待できます。​

概要
株式会社建設技術研究所(本社:東京都中央区、代表取締役:中村哲己、以下「建設技術研究所」)は、株式会社フォトンラボ(本社:東京都中央区、代表取締役:木暮繁、以下「フォトンラボ」)との業務提携契約、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(本部:千葉県千葉市、理事長:平野俊夫、以下「量子科学技術研究開発機構」)との共同研究により、道路トンネルのロボット点検技術として社会実装を進めてきた「レーザー打音検査装置」を国内で初めてトンネル内装曲面タイルパネルの診断支援に活用しました。

社会実装の背景
トンネルの内壁には、トンネル内での視認性を保つために側面にタイルパネルが施工されています。タイルパネルは経年劣化により剥がれることがあるため、剥がれたタイルパネルによる第3者被害を防止するために定期的な点検が行なわれています。従来、トンネル内装曲面タイルパネルの点検は専門技術者の目視確認や打音検査により行われていますが、タイルパネルの一つ一つを個別に検査する必要があります。この方法は、多くの手間や時間がかかるとともに、低い位置にあるタイルパネルは腰をかがめて点検ハンマーで叩く必要があり、身体的な苦痛が伴うものでした。また、打音検査を行う技術者によって検査結果にばらつきが生じることや打音検査を実施できる技術者不足も懸念され、これを補完・支援するための遠隔・非接触計測技術の社会実装が強く求められていました。建設技術研究所とフォトンラボ、量子科学技術研究開発機構は、このニーズに応えるため、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の研究成果である「レーザー打音技術」をトンネル内装曲面タイルパネルの診断支援技術として活用することを考えました。

覆工コンクリートからトンネル内装曲面タイルパネルへ社会実装を拡大
「レーザー打音検査装置」は、ハンマーの役割をする打音レーザーと振動を計測する計測レーザーにより、打音検査を遠隔・デジタル化する装置です。道路トンネルの覆工コンクリートに対する「レーザー打音検査装置」を用いた診断支援技術の社会実装により得られた経験や知見を活かし、トンネル内装曲面タイルパネルへの活用を図りました。
浮いているタイルパネルは、人が点検ハンマーで叩くと、濁音(共鳴振動)が生じます。この共鳴振動に着目し、打音レーザーによりタイルパネルに振動を与え、計測レーザーによりタイルパネル表面の振動値から共鳴振動を計測することができれば、「レーザー打音検査装置」によるタイルパネルの診断支援が可能となります。これを確認するため、事前に実施した従来の人力打音検査よりタイルパネルが浮いていると診断された範囲に対して、「レーザー打音検査装置」による計測を行った結果、タイルパネルが浮いていることを示す共鳴振動を確認しました。一方、浮きが生じていないタイルパネルでは共鳴振動は測定されませんでした。このように、レーザー打音検査装置によりタイルパネルの共鳴振動の有無を確認することは可能であり、タイルパネルの浮きに対する診断支援に活用できることが確認できました(写真2)。次回点検時等において、レーザー打音検査装置による計測を行い、共鳴振動の有無を確認することで、タイルパネルの劣化進行に対する定量的な評価が可能となります。

レーザー打音検査装置を導入するメリット
トンネル内装曲面タイルパネルは、剥がれ落ちた場合に第3者被害の発生が懸念されるため、道路管理者による定期的な点検が必要になり、低い位置に設置されたタイルパネルの打音検査は腰をかがめた低い姿勢で長時間行う必要があることから、点検時の身体的な苦痛が課題となっています。この課題に対し、「レーザー打音検査装置」は、点検時間の短縮と点検技術者の身体的な苦痛からの解放が期待できます。さらに、点検結果を振動値として継続的にデータ化することでタイルパネルの接着部分の浮きの進行が評価でき、点検の優先順位やタイルパネルの更新・撤去などの判断が可能となります。これにより、点検・維持管理活動の効率化、高度化に寄与すると考えられます。

今後の展望
今回の「レーザー打音検査装置」は、トンネル内装曲面タイルパネルに着目して社会実装をしたものであり、覆工コンクリートに対する「レーザー打音検査装置」を用いた診断支援技術の社会実装により得られた経験や知見が、他の構造物や施設に展開できることが確認できました。今後も様々な変状に対する診断能力の向上と計測時間の短縮化を図り、点検・維持管理活動の効率化、高度化に向けた開発を進めることで、道路利用者の安全性の向上に貢献してまいります。

特徴
(1)トンネル内装曲面タイルパネル固定状況を振動値のデータとして測定可能です。

出典:
https://www.qst.go.jp/site/press/20230328.html

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