(レーザー関連)東京都市大学/ カメラ動画像と三次元レーザ計測を併用して人混みでも80%以上の人の動きを把握できる技術を開発

2023/07/18

~安全かつ快適で質の高い都市空間を整備するために~

東京都市大学
日本工営株式会社
日本工営都市空間株式会社

東京都市大学(東京都世田谷区、学長:三木 千壽)都市生活学部 都市生活学科 高柳 英明教授は、日本工営株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:金井 晴彦)、日本工営都市空間株式会社(愛知県名古屋市東区、代表取締役社長:吉田 典明)と共同で、人流における歩行者の挙動把握が80%以上となる技術を開発しました。

近年、「人流の把握・解析」は、交通・生活・観光など様々な分野におけるインフラ整備において、重要な要素として注目されていることから、その把握・解析に用いられるカメラ動画像や三次元レーザ計測(※1)機器等の精度向上への期待が高まっています。また、安全かつ快適で質の高い都市空間を整備するためには、事前の人流の把握・解析およびシミュレーションとその評価に用いる混雑状況を示す指標が求められています。

今回開発した技術は、カメラ動画像と三次元レーザ計測を併用したもので、歩行者1人当たりの専有面積に応じて6段階に分けられる指針「サービス水準」(※2)を用いて把握精度を検証しました。結果、既存のカメラ動画像、または三次元レーザ計測のみで把握した場合に比べ15%以上高い、80%以上の精度を可能としました。また、これまでの技術は、混雑度合によって把握精度が安定しないという問題がありましたが、今回開発した技術を用いれば、どのような混雑度合であっても常に80%以上の精度で混雑状況を把握することが可能なことから、混雑状況を示す新たな指標としての活用が期待できます。

本研究のポイント

  • 従前の人流計測技術では65%程度だった人流・歩行者の挙動同定率を80%以上にまで向上させた。
  • この成果により、混雑状況を示す新たな指標が提供できる。

概要
東京都市大学 都市生活学部の高柳 英明教授は、建築空間・都市整備コンサルティング国内最大手である日本工営株式会社・日本工営都市空間株式会社との共同研究のもと、同大学キャンパス内のアメニティ施設(世田谷キャンパス7号館1階 「nana café(ナナカフェ)」)周辺を対象空間とし、カメラ動画像と三次元レーザ計測を併用した利用者の行動把握を実施しました。人流の混雑密度すなわちサービス水準を適用した人流量の同定率を明示すべく、その精度検証を行いました。

既存のカメラ動画像、あるいは三次元レーザ計測のみの把握では、約65%程度の同定率であったものを、人流の混雑度合いであるサービス水準毎に併用し、正しい把握事象数に対して

  • サービス水準A(0.81㎡/人、空いている駅コンコース程度)にて81.3%
  • サービス水準B(1.21㎡/人、通常の通勤人流の混雑程度)にて85.7%
  • サービス水準C(1.62㎡/人、歩き難さを感じる通勤人流)にて84.0%

の各同定率を得ました。低混雑度合いにおいては、立ち止まり・滞留による長時間のオクルージョンが起こる事が示唆され、単純に混雑度合いが高くなるにつれ同定率が下がるものではないといえます。

研究の背景
進む首都圏の土地利用の高機能化をはじめ、都市生活基盤のDX化や歩車空間のITS化といった社会要請を受け、都市空間の整備においては、単なるハード整備のみならず、如何にして質の高い空間利活用が可能かについて、人流把握・解析により『事前に提案内容を評価する事』が求められつつあります。

併せて昨今の動画像カメラ・三次元レーザ計測機器等の、歩行者行動の質的、量的把握技術も益々高度化し、都市情報提示技術への応用事例も多見されますが、それらの把握精度については「どれくらい確からしいデータであるのか」が未だ明示されていません。

これはひとえに、混雑それ自体が引き起こす人垣の影による「センシング・オクルージョン」が要因であり、混雑度合いを示す群集密度のサービス水準(単位[㎡/人])に連関し、把握の度合い、つまり同定率(単位[%])が変化するものと見ています。本研究は、この群集密度別に見た同定率を明示しつつ、動画像カメラと三次元レーザ計測の併用により80%以上の水準の同定率を担保する手法を明示しました。

研究の社会的貢献および今後の展開 
本研究の成果は、進むスマートシティ構想の中での以下にあげる社会インパクトと展開余地があります。

  • 都市DXに連関する5Gスマートボールへの人流把握技術への展開
  • インバウンド増による観光地の回遊性分析と集客資源価値創造への寄与
  • 歩行者ITS時代の歩車融合モビリティの自動運転への展開
  • スタジアム・コンサートホールなどの大規模集客イベントの警備運営のデジタル化

用語解説
※1 三次元レーザ計測法:

通称3D-LiDAR、不可視レーザによる360度オムニスコープ測距センサにより、周囲の遮蔽物を点群データとして計測する方法。本研究では歩行者を点群データとして抽出。

※2 サービス水準:
人流の混雑度合い自体を示す指標は群集密度(単位[人/㎡]であるに対し、サービス水準とはその混雑が起こっている空間の混み具合を示す指標)であるため、単位は[㎡/人]となる。なおこのサービス水準については、日本建築学会計画委員会において、水準A〜Fの6段階に区別されており、目下国内の集客施設・駅施設等の建築計画を行ううえでの設計基本指針となっている。

<取材申し込み先>
学長室(広報担当)
(E-mail:toshidai-pr@tcu.ac.jp)

出典: https://www.tcu.ac.jp/news/all/20230718-52101/

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