(レーザー関連)京都大学/レーザー光を使い日本発の新しいリン同素体を合成

―オレンジ色のリン:エネルギー・エレクトロニクス応用に期待―

概要
 リン(P)は最大で5個の価電子を持つ大きなエネルギーを内蔵する原子であり、半導体のドーパント、電池、生体物質など、半導体、エネルギー、生物の幅広い分野に渡り応用されています。リン元素のみから構成され構造(骨格)の異なる物質はリン同素体と呼ばれ、それぞれ異なる性質を示します。これまで発見されたリン同素体は白リン、赤リン、紫リン、黒リンの4種類のみであり、全て対称な分子構造を持つため、電気を生み出す極性を持っていませんでした。このため極性(分子)構造を持つ新しいリン同素体が望まれていましたが、理論的にその存在が予測されていたものの物質合成に成功していませんでした。
 京都大学エネルギー理工学研究所の坂口浩司教授、邱鵬程研究員、王佳盟大学院生、小島崇寛准教授、工学研究科の深見一弘准教授、鹿住健司技術専門職員、人間・環境学研究科の小松直樹教授、リガク(株)の佐藤寛泰研究員の研究チームは、リンイオンから成る原料分子の固体にレーザー光を照射することにより特殊な化学反応を引き起こす新しい製造技術を開発し、このレーザー合成技術を用いて従来困難であった極性構造を持つ新しいリン同素体の開発に成功し、「オレンジリン」と命名しました。リガク(株)の三次元電子線回折装置を用いた分析により、この日本発の新物質はリン五員環(五角形)が一方向に向いて繋がった中空構造(リンのナノ細線)を持つことが明らかになりました。更にオレンジリンに圧力を加えることにより電気抵抗が変化するピエゾ抵抗効果を示すことが確認され、従来用いられてきた材料性能を凌駕する高い性能を発現することを明らかにしました。今後、エネルギー、センサー応用が期待されます。

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