新しいタイプの異方性セラミックスレーザー材料の開発に成功

ポイント

  • 結晶粒径をレーザー波長の約10分の1まで低減することにより,結晶方位がランダムであっても粒界散乱(Mie散乱)が極めて小さい異方性透明セラミックス(Nd 添加フルオロアパタイト:六方晶系)の開発手法を確立しました。
  • 従来の異方性セラミックスと比較して散乱係数は極めて小さく、世界で初めてレーザー発振に至ることを実証しました。
  • これまで、レーザー品質の透光性セラミックスは立方晶系材料に限定されており、本研究成果は従来の常識を覆す新しいタイプのセラミックス材料を提案するものです。
  • 今後、本成果を基に多くの新しい光材料開発が期待され、さらに加工産業、医療、計測など幅広い光技術応用に役立つ先駆的な研究成果です。

【概 要】
国立大学法人北見工業大学の古瀬裕章准教授、国立研究開発法人物質・材料研究機構の金炳男グループリーダー、国立大学法人東京医科歯科大学の堀内尚紘助教らの共同研究チームは、この度、新しいタイプの異方性セラミックスの透明化と、そのレーザー発振の実証に初めて成功しました。多結晶セラミックスは単結晶体と比較して様々な利点(例えば大口径化、複合化等)を有していますが、通常、多数の結晶粒で構成される多結晶セラミックスでは、結晶方位に対して一様な屈折率を持つ立方晶系材料でしかレーザー品質の透光性が得られておらず、非立方晶系材料(サファイアやアパタイト)は単結晶体のみが実用されていました。しかし、非立方晶系材料においても結晶粒径を光の波長の約10分の1に抑制することで粒界散乱を低減でき、極めて高品質な透明セラミックスが作製できること、そしてレーザー発振に至ることを明らかにしました。同様のアプローチは国内外の研究者らによって試みられてきましたが、レーザー発振に至ったのは本研究が初めてです。この研究成果は、高度な粉体合成技術、焼結技術、レーザー技術を駆使することで得られた成果であり、学術的にも大きな意義があります。今後は、本成果を基に、様々な新レーザー材料が開発され、光技術が飛躍的に発展すると期待されます。

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