水中で素早く情報を送ることができる「水中光無線」とは?
私達が街中やカフェ・家の中などで無線通信を行えるのは、伝達したい情報を電波に乗せる「変調」という操作のおかげです。一方水中では電磁波が減衰しやすいため、代わりに音波(音響)を使った通信方法が使われていました。しかし水中では音の伝達速度は電波と比べて遅く、送受信できるデータの量も限りがあるという問題があったので、これらの課題をクリアするために開発が進められたのが、光を用いた通信技術なのです。
水中での通信技術を改善させるため、2017年7月、海洋・深海などの研究開発を行う海洋研究開発機構や、精密機器の開発を行う株式会社島津製作所が中心となり「水中光無線」を使用した実験が行われました。水中光無線とは、水の中でも素早く無線通信が行えるように地上で用いられている光通信の技術を活用し、高い出力の半導体レーザーによって通信を行うものです。
この実験は実際の海(静岡県・駿河湾)で行われ、レーザーを用いた無線LANを使って100メートル以上離れた場所でも水中で通信できることが実証できました。従来の通信技術と比べると約1,000倍の通信速度にあたり、これにより大容量の動画などの送受信が可能になります。また、この実験は自然の海で行われたため、潮の流れや海水の濁りといったさまざまな環境の中でも水中光無線が適応できる可能性が分かりました。
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