(LiDAR関連)大成建設株式会社他/トンネル側壁部のコンクリート吹付け厚計測システム「T-ショットマーカー®アーチ」を開発

-吹付け作業中にアーチ面の「吹付け厚」と「出来形」を面的かつ定量的に計測し一括管理-

2024年8月20日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、「生産プロセスのDX」の一環として、マック株式会社(社長:宮原宏史)と共同で、山岳トンネル工事における切羽アーチ面(以下、アーチ面、図1参照)へのコンクリート吹付け厚※1の計測システム「T-ショットマーカーアーチ」を開発しました。本技術の適用により、吹付け作業中にアーチ面の吹付け厚と出来形を面的かつ定量的に計測、可視化して一括管理することが可能となり、施工品質の向上を実現できます。

山岳トンネル工事での切羽面へのコンクリート吹付け作業は、これまで吹付けを行うオペレーターが切羽近傍で目視により吹付け厚さを確認しながら施工してきましたが、こうした定性的な管理方法はオペレーターによるバラツキが生じやすく、施工品質向上のためには吹付け厚の定量的な管理手法が求められていました。そのため当社では、切羽前面の鏡面を対象にレーザー光を用いたリモートセンシング技術である3D-LiDARを用いて、コンクリート吹付け厚をリアルタイムに計測するシステム「T-ショットマーカーフェイス※2」を2023年に開発し運用してきました。しかし、この計測システムは、鏡面での吹付け厚の計測に限定されており、施工品質の更なる向上を図るため、その周囲のアーチ面での吹付け厚の計測・評価を加えた切羽全体での品質管理が課題となっていました

そこで当社は、この度、切羽の鏡面に加えてアーチ面についても同様に吹付け厚を計測・管理するシステム「T-ショットマーカーアーチ」を開発しました。本システムは、当社施工の道路トンネル工事において検証を行い、その有効性が確認されました。「T-ショットマーカー」を用いた切羽の鏡面とアーチ面の吹付け厚計測システムは、いずれも山岳トンネル工事におけるコンクリート吹付け作業の自動化に向けた重要な要素技術に位置付けられるものです。

本システムの特長は以下のとおりです。

(1)アーチ面の吹付け厚を面的かつ定量的に計測可能(図2参照)
コンクリート吹付け機に搭載した2台の3D-LiDARを連携制御することで、アーチ面の吹付け厚を面的かつ定量的に計測することが可能になりました。今回開発した「アーチ」と既開発の「フェイス」の2種類のT-ショットマーカーを併用することで、切羽全体の吹付け厚を総合的に計測し、管理できます。

(2)吹付け作業中に「吹付け厚」と「出来形」を可視化して一括管理(図3参照)
吹付け機のモニタ画面には、アーチ面の吹付け厚と出来形の2つの展開図が可視化して表示され、吹付け作業の進捗状況を定量的に一括管理することができます。計測対象の吹付け面を座標化することで、設計断面と3次元での比較が可能となり、作業中に面的な吹付け厚の過不足を把握しながら、トンネル内空断面の出来形を正確に確認できます。

(3)必要吹付け量の自動算出により生コンクリート注文量を最適化(図3参照)
本システムは計測結果と設計断面情報を基に、吹付け時のリバウンド量を加味して必要なコンクリート量を自動的に算出できます。作業進捗に伴い、残りの吹付け作業に必要となるコンクリート量を再計算して表示する機能も備えており、生コンクリート注文量の過不足を防止し、作業の手間とコストの低減を図ることが可能で、CO2削減効果も期待できます。

今後当社は、本システムを全国の山岳トンネル工事で展開し、現場状況に合わせて改良を加えながら吹付け作業の更なる効率化と安全性の向上を進めるとともに、コンクリート吹付け作業の完全自動化など山岳トンネル工事に関わる様々な施工工程の自動化・機械化技術の開発に取り組んでまいります。


*1 コンクリート吹付け厚:
厚生労働省の平成30年1月「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」の改定では、地山の状態に応じて適切な吹付け厚さを確保するとあり、当社では最小吹付け厚さ50mmを確保し、地山状況を確認しながら不足する場合は増し吹きしている。

※2 T-ショットマーカーフェイス:
コンクリート吹付け厚さを面的に計測できる「T-ショットマーカー® フェイス」を開発


DX認定とは「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。

出典:
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240820_10066.html

ご参考:
(株)光響が提供する製品・サービス情報:
LiDAR(バックパック型・超高点群密度・ソリッドステート)
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