NASAが火星探査ミッションで用いる探査機ローバー、愛称キュリオシティにレーザー砲自動発射の許可を出した。
これだけを見ると何やら物騒だが、キュリオシティには元々レーザー砲が備え付けられている。火星人や宇宙人、はたまた凶悪なエイリアンに遭遇した際の防衛兵器、では勿論無い。探査機であるキュリオシティは地球にいる研究者たちの指示の元、火星探査のサンプルを得るべくレーザー砲で岩石を砕き、その組成物を分析してデータを地球に送る、という任務をこなしているのだ。 (Chem Cam(Chemistry&Camera)と呼ばれるそれは、7メートル先のターゲットをレーザーで蒸発させてその元素組成を測定することが出来る。)
ここで重要なのは、今まではあくまでも『研究者の指示の元』だったのだが、今回アップロードによって、『キュリオシティの自己判断で』と変更されたところである。
このシステムは、例えば火星と地球の位置関係によって信号の送受信に時間を要する場合や長時間の移動の間、或いは活動スケジュール等の問題で指示を出すことが不可能な場合に特に有用で、その空白期間、賢明なキュリオシティは広大な火星を移動しつつ、有益又は有用と思われる岩石を自分で判断し、それを破砕して分析してくれるのだ。しかも、この判断には研究者が範囲を指定する事も可能で、ターゲット選択の基準を変更する事も出来る。
図1
(例えば、左のような画像を分析し黄色のドットで示されるターゲットを選択。
ChemCamをターゲットに向け右側の写真を取得する。というようなことを自律動作で行ってくれる)
更に、新生キュリオシティが研究者たちの大きな手助けとなる点は、地球から遠く離れた火星のモニターやデータ越しでは分からない、見落としがちな小さなターゲットを発見してくれることだろう。自己判断で行動できるからこそである。
火星探査。子供の頃に宇宙人の姿と共にその光景を思い描いた人は少なくないと思う。キュリオシティCuriosity、日本語では『好奇心』と訳される。誰もが持っていた子供の頃の純粋な好奇心の赴くままに、火星の新しい情報を沢山ゲットして欲しいものだ。
参考
*Tech Crunch(https://tctechcrunch2011.files.wordpress.com/2016/07/pia20762-16.jpg?w=1570&h=883)(図1)
*Sputnik
*日本火星協会
「執筆者:株式会社光響 緒方」