昨今のペーパーアートやペーパークラフトは少し度を越えているのではないだろうか。と、思わざるを得ないアイテムが話題を集めている。
先日、お札をレーザーカットしたペーパーアートについてお知らせしたばかりだが、今回は同じレーザーカットされた紙でも趣向の全く違うアウトドア的インドアアイテムだ。
図1
富士山1/50,000スケール
山のジオラマ模型、のようだが、実はレーザーカットされた紙を一枚ずつ積み上げた紙製の山岳立体模型だ。
製品名は『やまつみ』。
その名の通り紙を積み上げて作製するわけだが、国土地理院発行の1/25,000地形図の等高線情報を基に作成されたその仕上がりは、ペーパークラフトの域を遥かに超えたリアリティを見せてくれる。標高で輪切りにされた山を下から順番に積み上げていくだけで、自宅にリアルな富士山や箱根山のミニチュアを置くことができるのだ。
図2
「やまつみ」鳥海山1/50,000スケール
図3
「やまつみ」日光1/50,000スケール
1/25,000スケールは10m間隔の等高線、1/50,000は20m、150,000は40m間隔の等高線で区切られており、それぞれの小さな景観が楽しめる。仕上がりは実際の山岳に忠実な等倍と山域によっては1.4~2倍に強調されている物もある。セット内容は、1枚当たり厚さ0.6mm、粘着加工済みのシート、木製の台座、同じく木製の山岳のネームプレートと、位置決め棒が数本付いてくる。これに加えて、圧着用ローラー、ピンセット、仕上げ用に使うスプレータイプのニスを準備すれば、製作が楽になる。
製作は、先ず台座の中央に基礎となる一番下のシートを張り付けるところから始まる。建築物でも最も重要なのは基礎だ。しっかりと圧着ローラーで張り付けて頂きたい。
図4
次に、セットに付いている位置決め棒を基準穴に挿し込んで、シートが正確に重ねられるようにする。仕上がりをよりリアルにより美しくするために、また失敗を回避する為の大切な作業だ。
図5
これらが終われば後は山を積み重ねていくだけだ。
シートに開いている穴に合わせて順番に積み上げていく。この作業の繰り返しとなるわけだが、基準穴の位置は作業の振興に従って変わって来るのでその都度使う棒の太さや位置を変えながら進めていく事になる。
図6
言ってみれば単純作業なわけだが、何しろパーツ数が多い。
単純に考えて、富士山の標高が3,776m。1/25,000スケールなら378枚ものパーツを正確にひたすら積み上げていかなければならないのだ。集中力と根気が不可欠な地道な作業となることは間違いない。積みに積んで、基準穴を使わないパーツをピンセットで積み上げて、
図7
付属のネームプレートを付ければ、完成だ。
図8
出来上がりのアイテムがアウトドアなだけで全くもってインドアじゃないか、と思われるかもしれないが、「最後の一枚を積み上げた時、一山登り終えたような爽快感がある」との声が多数聞かれているとのこと。
特に山好きな方々、山男・山ガールの皆様には自分の好きな山、憧れの山のミニチュアを自分の手で積み上げて、自分だけのオンリーな山を堪能できる幸せアイテムだ。玄関に飾って来客に見せびらかすのも良し、自室で一人で眺めてうっとりするのも良し、或いはリビングに飾って山仲間と登山ルートについて激論を交わしても良い。勿論、登山好きでない方が、純粋に積み上げを楽しみ、インテリアとして飾るにも十分なリアリティと美しさだ。
積み上げるシートはレーザーカットされ且つ粘着加工済み。地表の色や主要道路、登山道は印刷済みの至れり尽くせり。自分で切り離す必要も、色を塗る必要も無く、『やまつみ』の名の通り、正に積むだけ。
光を当てる方向を変えれば陰影も変わり、朝昼夕それぞれの姿を再現して楽しむこともできる。また、別売りで専用アクリルケースも販売されていて、こちらは奥が鏡張りになっているので、奥行きが出てより美しい。
製作販売は、「やまつみ工房」。Amazonで購入可能だ。
富士山に箱根、越後三山、剱岳、妙高山に霧島連山、桜島、屋久島等々、ラインナップは豊富。HPでご確認頂ける。地図好きな方、物を作るのが好きな方、山好きな方、登山はしないが山登り気分は味わってみたい方等々、様々な方にお楽しみ頂ける事請け合いである。暇を見つけて少しずつ積むか、一日の終わりの楽しみに一枚ずつ積むか、まとまった休みに一気に積むか、それぞれの好みに合わせた積み方で自分だけの山岳を手に入れて頂きたい。
最後に、島愛好家の方には「しまつみ」として青ヶ島が発売されている。自分だけの島を所有したい方にはこちらもおすすめだ。
図9
「しまつみ」青ヶ島1/25,000スケール
*「やまつみ」動画。屋久島を積む。
参考
*やまつみ工房
http://www.yamatumi.jp/index.html
http://www.yamatumi.jp/product/lineup/fuji_150/image/main.jpg(図1)
http://www.yamatumi.jp/product/lineup/tyoukai/image/main.jpg(図2)
http://www.yamatumi.jp/product/lineup/nikkou/image/01.jpg(図3)
http://www.yamatumi.jp/guide/index.html(図4~8)
http://www.yamatumi.jp/product/lineup/aogasima/image/main.jpg(図9)
「執筆者:株式会社光響 緒方」