構造物の損傷を非接触で高精度に検知するシステム(レーザーアブレーショを利用)を開発

芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人)機械機能工学科の細矢直基准教授と、北海道大学(北海道札幌市/総長 名和豊春)大学院工学研究院の梶原逸朗教授らの研究グループは、構造物の損傷を非接触で高精度に検知するシステムを開発しました。構造物の表面に高出力のパルスレーザーを照射することで生成された、数十ナノメートル程度の弾性波の伝播を計測することで、構造物の損傷を非接触かつピンポイントで確認することが可能となります。具体的には、レーザーアブレーションを発生させて、これにより検査対象構造物にインパルス加振力を作用させます。

そして、生成された Lamb波の伝播を計測するというものです。細矢准教授らの研究では、従来よりも約100倍強い振幅の振動を発生させることに成功し、これにより損傷部分が明確に検知できるため、これまでの50分の1程度の時間に短縮して検査を行うことができます。現在は、金属での実験を行っていますが、炭素繊維強化プラスチックや高分子材料などさまざまな材料に適用可能な技術です。将来的には、航空機のような大型構造物に対する広域損傷検知などへの展開を目指します。

背景
薄板構造物に伝播する弾性波の 1 つである Lamb 波は、減衰が小さく長距離伝播するという特徴があります。そのため、航空機のような大型構造物に対する広域損傷検知を実現するために多くの研究がなされてきました。Lamb波の生成法としては、圧電デバイスなどによる接触式、またはレーザー熱弾性などによる非接触式などがあります。これらの手法は、検査対象が液体中であったり、高温下であったりすると、その適用が難しくなります。

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