【空想科学】超強力レーザー要塞『デス・スター』を作ってみたらどうなるか

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SF映画史上、最も凶悪で強力なレーザー兵器を挙げよ。その問いのダントツ一位の回答となると思われるのは、やはりスターウォーズの宇宙要塞『デス・スター』だ。諸々の好みやこだわりで異論ある方もおられるだろうが、取り敢えずこの場では認められないことを悪しからず御了承いただきたい。『デス・スター』を凶悪・強力なレーザー兵器足らしめているのは、その桁外れの攻撃力だろう。
僅か一撃で惑星オルデランを木っ端微塵に粉砕した凄まじい威力は、その名に恥じぬ強烈さを見せつけてくれた。しかも、宇宙要塞の主は悪の帝国軍。敵役の兵器としても要塞としても申し分のない存在感だ。更に言えば、『デス・スター』をより鮮烈な存在にしているのは、移動可能な要塞である、と言う点だ。通常航行用のイオン亜光速エンジンは勿論、ハイパー・スペースジャンプに必要なハイパードライブさえも搭載されている。

惑星を粉砕できるレーザー砲を備え、超光速で移動可能な巨大要塞。もし実在したら、しかもそれが敵の要塞だったら、人生を自暴自棄コースに乗せてしまいたくなる程度には絶望するのではないだろうか。

こんな超強力要塞『デス・スター』を、実際に作ってみたらどうなるのか。先ず何かを作る場合に絶対に不可欠なのは、費用だ。お金だ。空想科学の世界に世知辛いことを言うな、と思うかもしれないが、空想を現実にする為にもここは避けては通れない。それに、空想科学界にだってれっきとした貨幣経済があるのだ。要塞を建築する、となれば必要な資材は地球上でも相当な量が必要だ。それが宇宙要塞となれば如何程なのだろうか。これに関しては既に試算例があり、米・リーハイ大学の学生らが2012年に回答を示してくれている。必要となる鉄材の費用:85京2000兆ドル(約9010京円)

早くも桁がおかしい気がする。数字が大きすぎてピンと来ないかもしれないが、簡単に言えば、世界各国の国内総生産×13,000くらいだ。正直途方もない。忘れてはいけないのは鉄材の費用だけでこの金額、ということだ。要塞であってもなくても建造物が鉄しか使わない、なんてことはまず有り得ない。その他諸々を含めれば一体いくらになるのか、空恐ろしささえ感じる。

更に気になるのは、必要な鉄の分量だ。デス・スターは直径120kmの球体だ。120kmと言えば、東京→水戸間、光響の所在地京都市内からなら福井県福井市まで行けることになる。正直、自分の職場がこの広大さならそれを理由に退職を考えるところだ。そして重量は驚きの108兆tに達するとみられている。もう重量がどうとか言う重さではない気がする。果たして、こんな巨大な物体を作る為の鉄を地球上から採取できるものなのか甚だ疑問なのだが、なんとコレができるらしい。リーハイ大の学生たちによると、地球にはデス・スターを200万基建造することが可能な程の鉄が存在しているというのだ。何だかんだで地球は凄い星ということか。しかし、科学と現実はそうそう人類に優しくは無い。

この鉄のほとんどはマントルに含まれている。つまるところ、現在の技術での採掘は絶望的であり、地殻にある鉄では到底足りない、ということだ。仮に必要量が集められたとしても、現在と同水準で鉄材を精製すると、デス・スターの外郭部分の量を確保するだけで80万年程度かかるという。もう、人類が存在しているかどうか怪しい年数だ。長期計画にも程がある。飽きて作るのをやめてしまっていても誰も文句を言わないだろう

そして、いざ建造する段階に突入したとする。
パーツを地上で作り、宇宙で組み立てるとすると、打ち上げの為に1kg当たり20,000$程の経費がかかると考えられ、打ち上げ費用だけで、総額は2京1000兆$、約22垓1990京円を計上することになる。明らかに桁数がおかしい。もし万が一にも建造できたとして、作って終わり、では努力と苦労の意味が無く、その後の維持管理と運営をこなしてこそホンモノだ。こちらはイギリスの電力会社が試算してくれている。

まず、巨大宇宙要塞デス・スターの乗員は約170万人。メンテナンス用ドロイド40万体が乗船している。要塞とは言え常に戦闘状態にあるわけではなく、乗員にも日常生活や休息が必要なわけだから、衣食や清掃、余暇等に携わる事業主や民間人が約25万人と仮定する。民間人たちは取り敢えず置いておいて、軍人の給料を一律時給10$で計算してみると、一年間の人件費は32兆$。アメリカGDPの約2倍だ。しかも、これは一兵卒から幹部・将軍クラスまで一律で、勿論賞与は入れていない。そこまで考慮するとまだまだ金額は上りそうだ。とはいえ、悪の帝国軍が超絶ブラック企業である可能性は捨てきれないので、或いはこれが正しいのかもしれない。

更に、人間が生活して行く上でどうしても発生する光熱費は1日当たり520億$。日本円で5兆5000億程度だろうか。もうとても光熱費の金額ではない。こんな請求書が家に送られて来たらどう反応すれば良いのだろうか。人件費と光熱費だけで要塞が運営できるわけがないので、その他諸々ひっくるめた運用経費の総額は、1日7800$。日本円で、約82穣4500だ。

単純に計算して、地球上の年間経済活動の100兆年分相当だという。地球の寿命が後数十億年と言われているので、この金額を貯め終わるころには地球の生命活動自体が終了して、下手をすれば人類は滅亡しているかもしれない。普通に生活していてこんな桁の数を目にすることは相当に稀だ。因みに、億、兆、京、垓、、穣の順に桁が大きくなる。もう経費云々の数字ではない。

そして忘れてはならないのはこのデス・スターが、惑星を一撃粉砕できる前代未聞のレーザーキャノンを売りにしている、ということだ。惑星オルデランを木っ端微塵にしたこのレーザー砲、

一発撃つごとに、8000$。日本円で約84穣5670を消費する。とても一発の金額ではない。アムラームやサイドワインダーが非常に可愛らしい値段に思えてくる。というよりも、桁が大きすぎて欠片も実感がわかないレベルだ。ここまで金喰い虫の兵器は果たして有用なのかどうなのか、デス・スターの存在意義にまで疑問を唱えたくなってくる。

それにしても、ここまで経費と手間暇かけて作り上げた自慢の要塞を、たった一機の戦闘用単座機にぶっ壊された帝国軍の心境を考えると、居た堪れない気分だ。反乱軍を目の敵にするのも尤もだ。
とはいえ、地球一つでデス・スターを作るのとは違い、銀河帝国はその領内に150万の直轄星と6900万の植民星を抱える巨大帝国だ。その経済状態は分からないが、ひょっとしたらデス・スターの一つや二つ、ちょろいものなのかもしれない。

最後に、アメリカでオバマ政権時に有志がデス・スター建造を政府に請願したことがある。オバマ政権は、【惑星を吹っ飛ばすことには賛成できないし、単座の航空機による攻撃で破壊されるような大きな欠陥のある兵器に血税を注ぎ込むことはできない】と回答している。当然の回答と言うべきだろう。スターウォーズファンとしては悲しいところかも知れないが、経費的にも性能的にも割に合わない兵器である、と言わざるを得ない。今のところは、作ろうと思わない方が吉、ということだ。そして、空想の実現には巨額すぎる経費がいる、というのが現実だ、という世知辛い事実を忘れない方が良いだろう。

*How Much Would it Cost to Build a Real-Life Death Star?

参考
*Gigazine
https://gigazine.net/news/20180320-real-life-death-star-cost/
https://i.gzn.jp/img/2018/03/20/real-life-death-star-cost/snap00004_m.jpg (Top画像)

*Wired
https://wired.jp/2012/02/21/cost-death-sta/

執筆者:株式会社光響  緒方