【アメリカ発】バギー搭載型対ドローンレーザー砲!!

最近レーザー兵器関連の話題が熱い。先日は中国のレーザーアサルトライフルについてお知らせしたばかりだが、今度は再び本家本元アメリカ合衆国による開発だ。開発はRaytheon。お聞き覚えのある方もおられるだろう。戦闘ヘリAH-64アパッチに搭載する小型レーザー砲を開発した兵器メーカーだ。ミサイルメーカーとしては世界一。パトリオットやトマホーク、スパローといった有名どころの製造元であり、ミサイル防衛、サイバーテロ防衛、軍事用レーダー等を扱う大手軍事企業だが、実は電子レンジを発明した企業でもある。今回開発されたのは、対ドローン用バギー搭載型レーザー砲だ。システム一式は荷台に積み込めるサイズまでコンパクト化され、高エネルギーレーザー(HEL)、赤外線センサー、マルチスペクトルターゲティングシステム等が1パックに収められているとのことだ。性能の程は、動画でご確認頂くのが良いだろう。

*Raytheon’s High-Energy Laser Weapon System Counters UAS Threats

丸いスポットライトのようなレーザーは360度どの方向にも狙撃が可能。索敵必殺、Search & Destroyだ。

小型化されたHELシステムは、不規則に素早く動くドローンのような物体も正確に追跡することが可能だ。また、動画中でも分かるが、基本的にレーザー兵器は目に見えない。その為、傍から見ればバランスを崩したドローンが勝手に墜落したように見えるが、しっかり命中し、撃墜している。従来、兵器というのは高額なものだ。中世の槍や刀剣、鎧兜は決して安価なものではなかった。最速の移動手段だった馬に至っては超高級品扱いの御貴族様の乗り物だ。現在でも、戦闘機、ミサイル、戦車等々大規模な戦闘を繰り広げるのに不可欠なものは、一般人では絶対に手が出ないレベルの高額商品だ。一部の国での拳銃や紛争地域におけるAK-47のような例外もあるが、大概は、F35-A一機で200億円前後というような、とんでも価格だ。しかし兵器は常に進化し、情勢は変化する。

小型のドローンやクアッドコプターの開発は、気軽な空中撮影や風景撮影を楽しむアイテムとしてだけでなく、兵器として扱われる側面も持ち合わせている。簡単にコントロールができ、非常にコンパクトで持ち運びに便利。そして、何より非常に安価だ。クアッドコプター一機が物によっては4,000円を切ることもある。シンプルな構造で改造も楽々。小型の爆弾を搭載させて敵基地や拠点に数を集めて襲撃させれば、全てを撃墜するのはなかなか難しいだろう。いくらかのダメージは必至だ。しかもその間、攻撃側の人的被害は皆無だ。簡単操作、入手は容易で運搬楽々、且つ安価、とくれば、今後の戦場で使われないわけが無く、当然の如く対策が不可欠だ。

少し前に敵方の数万円のドローン兵器を米軍が数億円するミサイルを使って撃墜した、と話題になっていたが、こんな無駄遣いは確かにやっていられない。軍事費に限りがあるのは何処の国でも同じだ。搭載できるHELシステムはフットプリントが約2.8平方メートル、20~30回の照射が可能だが、発電機と組み合わせれば理論上は弾数無制限になる。一発数億円のミサイルと異なり、レーザー砲一発の価格は100円程度、と言われている。システムさえ開発してしまえば、その後の経費は比較の対象にもならない。正に雲泥の差だ。天候や使用環境に左右されるという側面は確かにあるが、対ドローン等のような状況であれば相当な力を発揮してくれると見られている。実用化されるレーザー兵器が増えて行けば、戦場の形態もまた変わっていくのかもしれない。

参考
*Gigazine
https://gigazine.net/news/20180720-raytheon-laser-weapon/
https://i.gzn.jp/img/2018/07/20/raytheon-laser-weapon/00_m.jpg (Top画像)
https://i.gzn.jp/img/2018/07/20/raytheon-laser-weapon/a07_m.jpg (図1)

*Raytheon
https://www.raytheon.com/news/feature/laser_dune_buggy

執筆者:株式会社光響  緒方