【要点】
- テラヘルツ光を波長より小さな領域に集光可能なデバイスを開発
- デバイスを回転させるという簡便な方法で集光周波数のチューニングを実現
- マウス臓器の微小域の分光スペクトル及び臓器特異的な透過画像の観測に成功
- 患者にとって負担の少ない非侵襲的画像診断・治療方針の確立が期待
東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の河野行雄准教授と東京医科歯科大学の榎本光裕医師らは、プラズモニック構造を利用した周波数の連続チューニング(選択)可能なテラヘルツ帯集光デバイスを開発した。従来、測定不可能だった非常に小さな試料の分光や画像観測が可能となり、マウス臓器の分光測定及び臓器特異的な透過画像イメージング撮影に成功した。プラズモン共鳴の周波数を発生させるために“スパイラルブルズアイ構造”と名付けた新たなプラズモン構造をもつデバイスを開発し、回転させるという簡単な操作で検出周波数を任意に変化させつつ、局所的にテラヘルツ光を集中させることにより実現した。
テラヘルツ光は工業、農業、医療・バイオなど様々な分野で利用が期待され、精力的に研究されている。中でも波長よりも小さな領域の試料観察を行うために必要なテラヘルツ光の局所集中が重要テーマになっている。今回は医工連携によってサブ波長領域でのテラヘルツ光の増強と周波数の任意チューニングが可能となった。サブ波長領域での医薬品、将来は医療チップや病理検査への応用が期待され、非侵襲の画像診断・治療方針の確立に向けて大きな一歩となる。研究成果は3月5日付で英国科学会誌「Scientific Reports」に掲載される。
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