生体認証に新システム。レーザーによる心拍の遠隔認証技術を米・国防省が開発中

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携帯電話に指紋認証機能が搭載されて久しい。一番始めの指紋認証搭載端末は2003年に発売されたNTTドコモのF505iだった。まだガラケーの全盛期だった頃だ。2013年にアップルがiPhone5sに導入したのを皮切りに、今や日常の一部と化し珍しいシステムではなくなる程普及している。生体認証としては指紋の他に掌形や虹彩、網膜、変わりどころでは耳形などというものもあるが、この程新しい生体認証システムの開発が発表された。

アメリカ国防省が開発しているのは、心拍を利用した生体認証だ。指紋や網膜、虹彩や血管やDNAのように心拍もまた個人で固有の特徴を持っており、既存の生体認証と同様に個人を識別することができるというのだ。米特殊部隊の要請によって開発された新システム「Jetson」は、レーザードップラー振動測定技術を使って、拍動によって起こる皮膚表面の振動を検出することができる。

驚くべき事にこの「Jaston」は、皮膚が露出していない状態つまり薄手の物であれば着衣のままでの認証が可能であるだけでなく、約200m離れた場所からレーザーを照射しての認証までも可能なのだという。

現在のところは未だ開発段階であり幾つかの解決すべき問題も残されていて、コートやジャケットといった厚手の衣服を着用している場合は検出できないことや、検測のためには適切な姿勢で30秒程の静止時間が必要であること等が上げられる。また、個人を認識するためのデータベースの構築も必要となる。しかし、研究者たちはこれまでの生体認証システムがそうであったのと同様に、この問題は遠からずクリアされるだろうと考えているようだ。使用条件が正しければ「Jaston」は既に95%以上の認識率に達しており、残された問題点を解決すれば流通している既存の生体認証と同様に、早期に日常の中で使われるようになるのではないかと見られている。
この心拍による個人認証システムは米•国防総省がテロ対策技術支援局に対して開発を指示したことが公文書で明らかになっており、本来の目的としては軍事•監視目的の技術だ。しかし、軍事目的で開発され、現在日常生活で不可欠となっているものは数えきれない程存在する。缶詰やトレンチコート、腕時計にGPSに電子レンジにティシュペーパー、レトルト食品に至るまで多様な物品が軍事からの転用だ。実用化されれば、例えば医療の現場で患者のバイタルチェックを体に触れずに行うことができる上、離れた場所からでも常に心拍異常や発作の兆候の有無を確認することが可能になる等、導入されればメリットは多い。また、既に普及している交際や指紋による認証技術との併用により、より高度でより正確な個人の認証手段となることは言うまでもないだろう。

*MIT Technology Review
https://www.technologyreview.com/s/613891/the-pentagon-has-a-laser-that-can-identify-people-from-a-distanceby-their-heartbeat/

*engadget
https://japanese.engadget.com/2019/06/28/200m/

* ZDNet Japan
https://japan.zdnet.com/article/35139246/

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執筆者:株式会社光響  緒方