実写か写真か本当はCG!写真測量&レーザースキャンの真骨頂!廃墟と化したチェルノブイリが舞台の本格サバイバルホラー「Chernobylite」

デフォルメされた可愛らしさと非現実性か、真贋見紛う再現性と真に迫ったリアリティか。両極端だがゲームの世界にはどちらも存在する。ゲームなのだから好きな方を選べばいいのだが、やはりホラーやガンシューティングといったゲームは徹底的にリアリティを追求して欲しいと思ってしまうゲーマーの方は多いのではないだろうか。この要望に技術が追いついてきたこともあり、最近では実写なのか、と疑いたくなるようなリアリティ溢れる世界をゲームの中に展開するものも少なくない。例えば、かの有名ゲーム「アサシンクリード」はそのデータが焼け落ちたノートルダム大聖堂の修復の助けになることを期待される程、現実に忠実なものだ。この世界的有名ゲームと同様か或いはそれ以上のリアルさと、ゲームの舞台となる場所の特殊さで大きな注目を集めているのが、本格サバイバルホラーゲーム「Chernobylite」だ。

タイトルを見てピンときた方はおそらく正解だ。あの1986年4月に大事故を起こしたてチェルノブイリ原子力発電所のある、ウクライナ・プリピャチがゲームの舞台だ。
長らく立ち入りが禁止され謎に包まれてきたチェルノブイリだが、驚くべきことにここ最近は観光地としてある種の人気を博している。個人ツアーは認められておらず事前にツアー申し込みが必要で、内部での飲食禁止、土に触れない地べたに座らない、制限区域内のあらゆる物の持帰り禁止、指定されたエリア以外と警察の写真撮影禁止等々、規則は色々あるようだがガイド付きで廃墟となった街を見て回ることができるようになっている。
そして、幾らかの制限はあるものの立ち入りが許可されたチェルノブイリを舞台に展開される「Chernobylite」は、この廃墟となった街並みや赤い森、周辺の地形すらも実写と見紛う精巧さで再現した超リアルゲームだ。


* Chernobylite Announcement Trailer

これがゲームトレーラーだと俄かには信じられない程リアルだ。
「Chernobylite」を開発しているのは、『World War 3』、『GET EVEN』を制作したポーランドの【The Farm 51】だ。彼らは「Chernobylite」制作のために、チェルノブイリの精巧極まりない3Dモデルを作り上げている。ドローンによる空中からのレーザースキャンで実際の地形データを収集するだけでなく、フォトグラメトリー(写真測量)技術を駆使して何万枚もの写真をGPSデータと組み合わせ、かつては1,3414世帯5万人が暮らし、現在は広大な廃墟となった街プリピャチのありとあらゆる場所を事細かに再現したのだ。

写真なのか3Dモデルなのか一瞬わからなくなってしまうほどの現実感だ。

そのリアリティは屋内や建造物だけでなく屋外ロケーションにも及ぶ。ドローンによる空からのレーザースキャンによって、廃墟を覆う木々や荒れた深林、地面の起伏までも正確に再現。爆発した4号炉も遠景で確認でき、驚異的な精度の仕上がりとなっているが、実はこのゲーム会社【The Farm 51】は本作の前身となる「チェルノブイリVRプロジェクト“CHERNOBYL VR Project”」を開発しており、4年間という長期にわたって立入禁止区域を取材•撮影を重ねてきた経緯がある。こちらはゲームというよりVRドキュメンタリーというべき作品だが、この蓄積があったからこそ「Chernobylite」のハイクオリティーな完成度が実現したことは間違いない。

1986年のチェルノブイリ原発事故によって恋人を失くした元原発職員の物理学者である主人公が、その傷を癒すために事故から30年以上の時を経て立入禁止区域に足を踏み入れることから始まる「Chernobylite」。廃墟と化したプリピャチには「ストーカー」と呼ばれる武装した人々が潜伏/生活していて、時に協力、時に敵対しながらゲームは展開していく。また、ミュータント化した動物や人間(?) との戦闘や、街のあちこちに出没する不気味に光る人形、理不尽な怪奇現象といったオカルト要素も詰め込まれ、プレイヤーはいっときたりとも油断の許されない緊迫した状況の中で、更に、限られた食料や銃弾医薬品を生きるために手に入れる、というサバイバルもこなさなければならないというハードなゲーム内容だ。主人公はこの過酷な環境の中で謎の失踪を遂げた恋人の行方を追うことになる。
発売はPCを対象にSteam から2019年秋の予定。現在のところ残念ながら日本語版の発売は予定されていないようだが、ストーリー、グラフィック共に非常に気になるゲームなので期待しつつ続報を待ちたいところだ。

参考
*Chernobylite
https://www.chernobylgame.com/

*4Gamer.net
https://www.4gamer.net/games/449/G044955/20190215007/
https://www.4gamer.net/games/449/G044955/20190215007/TN/002.jpg (図1)
https://www.4gamer.net/games/449/G044955/20190215007/TN/004.jpg (図2)
https://www.4gamer.net/games/449/G044955/20190215007/TN/007.jpg (図3)
https://www.4gamer.net/games/449/G044955/20190419080/TN/005.jpg (図4)

https://i.ytimg.com/vi/QF2usXhH3XY/maxresdefault.jpg (Top画像)

執筆者:株式会社光響  緒方