―励起状態の制御と機能開拓への新たなアプローチ―
概要
京都⼤学化学研究所 ⾦光義彦 教授、⽥原弘量 同助教、媚⼭悦企 理学研究科修⼠課程学⽣らの研究グループは、半導体ナノ粒⼦の励起状態をフェムト秒光パルス対で制御することで、光学利得閾値を低減する新しい⽅法を開発しました。光学利得閾値はレーザーの性能を表す指標の1つであり、この値が⼩さいほど少ないエ
ネルギーで光を増幅でき、⾼い効率のレーザーが実現できることを意味します。半導体ナノ粒⼦による光増幅においては、⾼エネルギーの電⼦と正孔からなるホットエキシトンや対称的なホットバイエキシトンと呼ばれる励起状態にあるナノ粒⼦が、発⽣した光を再吸収しナノ粒⼦集合体での光増幅の効果を弱める、すなわち光
学利得閾値を上昇させてしまうことが問題となっていました。本研究グループはパルス対でナノ粒⼦集団を励起することで、増幅された光の再吸収が少ない⾮対称なホットバイエキシトン状態を選択的に⽣成し、励起直後のナノ粒⼦集団での光学利得閾値の低下を実現しました。この成果は、短パルスレーザーをはじめとする、
半導体ナノ粒⼦を⽤いた新たな光源開発へつながると期待されます。
本研究成果は、2020 年 4 ⽉ 28 ⽇に⽶国の国際学術誌「Nano Letters」のオンライン版に掲載されました
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。