(レーザー関連)原子炉や加速器不要のレーザーによる新方式 「手のひらサイズ」の冷中性子源

―10万分の1秒の短いパルスで生命現象の計測に期待―

【研究成果のポイント】

  • エネルギーの低い中性子=冷中性子(れいちゅうせいし)を使うと、X線では得られない、水素など軽元素の情報を計測することができます。
  • これまで、冷中性子を得るためには、原子炉や加速器といった施設が必要でした。
  • レーザーを使った「手のひらサイズ」の新しい方式で、短い時間の冷中性子パルスを発生させることに成功しました。
  • 1万分の1秒より短い時間に起きるタンパク質の動きやはたらきを、瞬間的に計測できる新しい手法につながります。

概要
大阪大学レーザー科学研究所のセイエッド・レザ・マーファジ特任助教(現インペリアル・カレッジ・ロンドン助教)、余語覚文 准教授、核融合科学研究所の岩本晃史 准教授らの研究チームは、レーザーを使った新しい方式で、エネルギーの低い中性子=冷中性子(れいちゅうせいし)を発生することに成功しました。冷中性子は粒子と波の両方の性質を持ち、X線では得られない深部や、水素などの軽元素の情報を計測することができます。これまで、冷中性子を得るためには、原子炉や加速器が必要でした。本研究では、冷中性子源を「手のひらサイズ」で実現しました。また、冷中性子を短い時間幅で発生できるため、タンパク質分子が動いて物質(水素など)を運ぶ時間(1万分の1秒以下)を瞬間的に計測できる、新しい手法につながります。

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