(レーザー関連)東北大学/限界を突破し皮下のループ状毛細血管を世界で初めて可視化

2022年7月4日
報道機関 各位
東北大学大学院医工学研究科
東北大学加齢医学研究所
東北大学病院
東北大学大学院工学研究科・工学部
東北大学大学院医学系研究科

光音響顕微鏡の高精度制御により高画質を実現

【研究のポイント】

  • ループ状毛細血管注1など、不透明な皮下の毛細血管については明瞭な画像撮影が困難だった。
  • 微細加工技術を利用した MEMS注2ミラーの高精度制御によって、光音響イメージング注3を使用した新しい光音響顕微鏡注4を開発した。
  • 本研究は、毛細血管の細動脈・細静脈を明瞭に区別したヘアピンカーブ構造の高画質画像を撮影することを可能とし、毛細血管による皮膚の評価に直ちに応用可能。

【研究概要】
毛細血管は皮膚近くではループ状の構造を取っており、血流に障害が起こるとループ状構造が乱れたり消失したりすることから、病気の診断に利用されています。しかし、普通の皮膚は不透明なため、皮下の毛細血管を明瞭に観察することはこれまでできませんでした。近年、近赤外線を利用した光干渉断層計によって、皮下の血管網の構造を詳細に観察することができるようになりましたが、解像度の限界により、ループ状構造までの観察は困難でした。一方、光音響イメージングを使用した光音響顕微鏡は、非常に高い解像度を実現でき、新しい血管観察法として開発が進められています。東北大学大学院医工学研究科新楯諒大学院生(研究当時、現・富士フイルム)、西條芳文教授らの研究グループは、韓国浦項大学のChulhong Kim教授らのグループとの共同開発でMEMSスキャンを用いた光音響顕微鏡を開発し、そのスキャンをさらに高精度制御することで高画質画像を得ることに成功しました。特に不透明な皮下組織のループ状毛細血管のヘアピンカーブ構造における細動脈・細静脈を明瞭に区別した画像撮影は世界初です。本研究成果は、毛細血管による皮膚の評価に直ちに応用可能で、開発中の内視鏡との組み合わせによりがん組織の血管構造などにも応用可能な技術です。
本研究成果は、2022年6月2日に国際科学誌Scientific Reports(電子版)に掲載されました。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン
   
新規ユーザー登録
*必須項目