(LiDAR関連)大成建設株式会社/土砂山を検出し押土経路を自ら決定する自律制御型ブルドーザを開発

自動運転建機「T-iROBO® Bulldozer」の機能を拡張

2023年5月23日
大成建設株式会社

大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、「生産プロセスのDX」の一環として、2021年に開発した自動運転建機「T-iROBO Bulldozer」の機能を拡張し、土砂山を検出してその状況に応じて押土経路を自ら決定することで、土砂の押出し・敷均し作業を自律制御で行えるブルドーザを開発しました。

高齢化社会の進展により生産労働人口の減少が顕在化する中、生産性の向上や担い手不足の解消は、建設産業においても大きな課題となっています。そのため、当社では各種計測データの利活用によって建設現場をスマート化する建設DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に注力しています。中でも建設機械の自動化技術については、省人化だけでなく施工時の安全性向上にもつながることから、積極的に様々な技術開発に取り組んでいます。

このような背景から、当社は2013年より遠隔操作や自動・自律で運転する建設機械「T-iROBOシリーズ」※1の開発を進めており、2021年には当社初の自動運転ブルドーザ「T-iROBO Bulldozer」の開発、適用を実現しました。この度、この「T-iROBO Bulldozer」に土砂山の位置・大きさ・形状などを検出し最適な押土経路を自ら決定することができる機能を付加することで、一連の押出し・敷均し作業に対応可能な自律制御型ブルドーザを開発しました。(写真1参照)

自律制御型ブルドーザの特徴は以下のとおりです。

1.各種センシング機能の連携により最適な押土経路を自動作成し自律作業
ブルドーザに搭載した各種センサの機能を連携させることで、ブルドーザ前方付近にダンプトラック等から排土された土砂山を検出可能としました。また、その位置・大きさ・形状などの情報を基に最適な押土経路を自動作成し、土砂の押出し・敷均し作業を自律制御で効率的に実施します。(写真2参照)

2.AI画像センシング機能で規格外の礫・岩を発見・通知し使用材料を適正化
土砂の盛土・転圧などによる築造工事では、あらかじめ使用可能な材料の仕様が定められています。AIを活用した画像センシング機能により規格外の礫・岩を発見・通知し、使用材料の適正化を図ることで施工品質の向上に寄与します。

3.荒崩しから押出し・敷均しなど作業内容に応じて効率的な整地作業が可能
センシング機能とマシンコントロール※2による排土板高さの自動調整ほか管理技術を組み合わせることで、大きいサイズの土砂山でもスタック等を回避した効率的な整地作業を可能としました。例えば、土砂山の上部を荒崩しによりあらかじめ低くしてから作業に取り掛かるなど、一連の作業を高度化し、施工効率の向上

4.AI人検知・障害物検知システムを搭載し自動・自律運転中の安全を確保
本ブルドーザは、自動・自律運転中に進行方向に人や障害物を検知した場合、確実に緊急停止するシステムを搭載しています。前方とその左右の作業範囲は当社独自開発の映像によるAI人検知システム「T-iFinder※3」を導入し、後方とその左右の作業範囲は悪天候や振動に強いミリ波レーダー※4を設置して人と障害物を検出し、自動・自律運転中の安全を確保します。

なお、水資源機構発注の南摩ダム本体建設工事における本堤体盛り立て施工に続き、同工事のブランケット※5施工に自律制御型ブルドーザはじめ他の自動・自律制御型建設機械との協調制御システム「T-iCraft※6」(図1参照)を導入する予定です。

今後当社は、自律制御型「T-iROBO Bulldozer」について「T-iCraft」を構成する建設機械の1機種として、より高度な自律施工に向け施工データを継続して蓄積し、引き続き土木施工における「DX」の推進につなげてまいります。

※1:T-iROBO®シリーズ:
人とロボットの協働を目的として、大成建設が開発した建設作業用ロボットシリーズを示しており、建設機械自動運転システムは現在までに6機種開発されている。今回のブルドーザに用いられている建設機械自動運転システムは、パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社の独自技術であるロボット自律制御技術を活用している。

※2:マシンコントロール:
あらかじめ3D設計データを登録しておくことで、ブルドーザのブレードやバックホウのバケットなどを設計面通りに半自動で制御するシステム。制御せずに画面表示だけのものはマシンガイダンスと呼ばれる。

※3:「T-iFinder®」:
当社が開発した、トンネル・地下工事、トンネル以外の土工事などの明かり工事および建築工事などから取得した現場作業員の映像データを基にデータベースを構築し、施工環境に合わせて機能する複数種類の建設機械搭載型AIを用いた高精度な人体検知システム

※4:ミリ波レーダー:
30GHzから300GHzまでの波長の短い電波を照射するレーダー。障害物や人の位置、速度等を検知する。今回のブルドーザに用いられている障害物検知システムは株式会社アカサカテックがミリ波レーダーを応用開発した制御システムを活用している。
(関連情報:『T-iROBO向けミリ波レ-ダ-制御システム』の情報が公開されました|アカサカテックHP (akasakatec.com)、
関連動画:ミリ波レーダー活用事例『T-iROBO® Bulldozerの開発』動画公開のお知らせ)

※5:ブランケット:
ダム上流側に設ける、堤体の保護盛土のこと

※6:「T-iCraft®」:
建設機械のメーカーによらず、自動運転、有人運転のいずれにも対応でき、条件が整えば最大32台までの複数機種の建設機械の協調制御を可能とするシステム

*DX認定とは「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。

出典:
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2023/230523_9540.html

ご参考:
(株)光響が提供する製品情報:LiDAR(バックパック型・超高点群密度・ソリッドステート)

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