概要
従来のコンピュータでは時間がかかりすぎて解けない問題を解けると期待される光量子コンピュータ注 1や、量子力学の原理を用いることで物理的に安全性が保証される量子暗号通信注 2 の実現には、量子力学的な相関(量子もつれ注 3)を持つ光子を発生させる光源や、量子もつれを利用して光子の量子状態を遠隔地に転送する量子中継器注 4などの開発が重要です。近年、これらを実現する発光体として、光の波長(色)がそろった単色性が高い光子を生成し、かつ、量子状態を保存するメモリとして利用可能な、ダイヤモンド中の単一スズ(Sn)欠陥(Vacancy)中心注 5(SnV 中心)が注目されています。しかし、これまで単一 SnV 中心の形成はバルク(塊状)ダイヤモンドに限られており、ナノメートル(10億分の1メートル)サイズの微小なダイヤモンド粒子(ナノダイヤモンド)では実現されていませんでした。
今回、公立千歳科学技術大学 髙島秀聡 准教授、京都大学大学院工学研究科 嶋﨑幸之介 特定研究員、同 竹内繁樹 教授らからなる研究グループは、量子科学技術研究開発機構の共同研究グループとともに、Snイオンをナノダイヤモンドに注入し熱処理を施すことで、ノイズとなる背景光子の発生がほとんど無い、単一SnV中心を内包するナノダイヤモンドの開発に成功しました(図 1)。
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